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ロシアのクリスマスは1月7日?在住者がロシアの寒くて面白い年末年始をご紹介!
ロシアのクリスマス。ここにも欧米とは異なるロシアの風習があります。それを知らないと、新年が過ぎても飾られている「もみの木」に驚くことになるでしょう。年末年始のロシア、人々はどのように過ごしどのような飾りと料理で祝うのか、ロシアの新たな一面をお楽しみください!
この記事に登場する専門家
モスクワ在住ライター
Kankaru
今年もクリスマスの季節がやってきた!
こんにちは!モスクワ在住ライターのKankaruです。日本は、街中がクリスマスイルミネーションで飾られ、幻想的な夜を楽しめる季節ですね。ロシアはどうかというと、12月中旬になってようやく街中の飾り付けが始まります。せっかくのイルミネーションが短期間とは残念!と思われたみなさん、いえいえ、これらのイルミネーションは1月下旬まで楽しむことができるんですよ!
どういうこと?と疑問に思いますよね。ロシアが長い筆者でもいまだに違和感を感じ過ごしています。実は、ロシアはクリスマスも新年も日本とは違う過ごし方をするんです!だからロシアはおもしろい!それでは、異国のクリスマスをどうぞお楽しみ下さい^^。
ロシアのクリスマスは1月7日!
ロシアのクリスマスは日付から異なり1月7日です。そもそもクリスマスは、イエス・キリストの降誕を祝う宗教行事の1つですが、教派によって異なる太陽暦を採用しているため日付にズレが生じているのです。欧米諸国ではグレゴリオ暦でクリスマスは12月25日と定められているのに対し、ロシア正教はユリウス暦を現在も基準としているので1月7日と定められています。
そのため、12月25日はロシアではいつもと変わらない普通の日です。欧米の文化に敏感な人の中には、一部でパーティーなど開くこともあるようですが、ごく少数のようです。
ロシアのクリスマス:サンタクロースならぬ、厳寒おじいさん【ジェド・マロース】
日本でお馴染みのサンタクロースは、クリスマスの日、子供たちにプレゼントを届けてくれる伝説のおじいさんですよね。ロシアはここも違います!見た目は似ているけれど、ロシアの伝説のおじいさんは、ジェド・マロースと呼ばれ、よーく観察すると着ている服もロシア風。ジェドはロシア語で「おじいさん」、マロースは「厳寒」を意味し、「厳寒おじいさん」と呼ばれています。
厳寒おじいさんは、魔法の杖をもち、プレゼントが底なしで入っている袋を持って歩いています。とてもお洒落な厳寒おじいさんには、赤だけではなく、水色や白の毛皮のコートもあるんですよ!
ロシアのクリスマス:ロシアの子供はサンタクロースを知らないの?
こんな疑問を持たれた方もいるでしょう。欧米の文化がいくらでも入ってくる時代、ロシアの子供番組でも、12月になると外国のクリスマス映画、アニメが流れます。そこでは「サンタクロース」と表現されているので、おやっと思った子供は大人に聞いて、それなりに理解していると言ったところでしょうか。筆者の子供達も違和感を感じつつ、ロシアはオリジナルのサンタさんがいるのね!と思っていますよ^^。
ロシアのクリスマス:厳寒おじいさんには孫娘がいた!雪娘【スネグーラチカ】
そして、こちらが厳寒おじいさんといつも一緒にいるスネグーラチカ!白く輝く美しい髪と、水色と白の毛皮のコートが特徴です。今や厳寒おじいさんと人気を二分するほど親しまれています。スネグーラチカは、ロシア語で雪娘いう意味で、厳寒おじいさんの孫娘です。
スネグーラチカは、他の国には存在しないロシアの完全オリジナルで、大きな厳寒おじいさんを怖がる子供たちを安心させる仲介役として、今ではイベントには欠かせない重要キャラクターになりました。
ロシアの民話【ゆきむすめ】
このスネグーラチカは、ロシア民話で、雪で作られ命を吹き込まれた雪娘として描かれています。日本でも「ゆきむすめ」というタイトルで絵本が出されています。雪娘ゆえに悲しい結末を迎えるのですが…関心を持たれた方はぜひ絵本を読んでみてくださいね。
ロシアのクリスマス:1月7日クリスマスの過ごし方
では、1月7日のクリスマス、ロシアの人はどのように過ごしているのでしょう。
ロシアは、ソ連時代、信仰を持つことが禁止されていたため、長い間クリスマスを祝うことが出来ませんでした。そのため、ロシアの人にとっては「新年を迎える行事」のほうが重大行事として浸透し、1月7日のクリスマスは、信仰心の厚い人にとっては重要な日ですが、信仰心がない人は、普通の祝日と変わらない過ごし方をします。
信仰心が厚い人は、教会に行ってお祈りをし、家族や友人を集めて「キリスト降誕」のお祝いをします。1月7日に作られる特別な料理はありません。
クリスマスは、年末から続く連休の後半にあたり、連続するパーティー疲れもあって、自宅で家族のんびり過ごす人も多いですよ。
ロシアのクリスマス:クリスマスの占い
数々の文学作品にも描かれているクリスマスの占い。古い慣習なので今ではあまり行う人はいませんが、ろうそくや鏡を使って、自分の将来などを占います。
ロシアのクリスマス:カリャダバーニエ
クリスマス前夜、子供達が家々をまわり、クリスマスの歌を歌って、お祝いの言葉を述べます。そして、そのお返しにお菓子やお小遣いをもらうというロシアの伝統行事です。
一部の地域では今も大切に行われているようですが、イベントとして企画される以外はほとんど見られなくなってしまいました。
ロシアが長い筆者ですが、経験したのは、お正月休みをホテルで過ごした一度だけです。子供達はホテルが用意した伝統衣装を身にまとい、部屋を周って歩きました。宿泊客にも周知されていたとはいえ、みんな快く迎えてくれ、たくさんのお菓子が集まりました。
厳寒おじいさんからのプレゼントは「1月1日」の朝!?
日本の大イベント・クリスマスと比べたら少々物足りなく感じたかもしれません。それに、肝心の厳寒おじいさんからのプレゼントはどうなっている?と疑問に思われましたよね。実は、ロシアでは1月1日の朝、厳寒おじいさんからのプレゼントが届きます。
これも先ほど紹介したロシアの歴史と関係していて、宗教弾圧のため長くクリスマスを祝えなかったため、クリスマスの飾りやプレゼントは、新年のために用意されることが習慣化されたためです。
日付はともあれ、子供達にとって、一年で一番楽しみな日であることは世界共通です!
お正月が一年で最大のイベント!
このようなロシアの歴史から、クリスマスを象徴するアイテムは新年を迎えるためのものにシフトし、お正月にむけて街は華やかに飾られ、1年で最も大切な行事として定着しました。
11月中旬にもなれば、「またこの季節がきた」と思うほど周りはお正月の話題で持ちきりになります。プレゼントはもちろん、お正月料理の手配、飾りなども長い時間をかけて選ぶことをロシア人は惜しみません。
12月に入ると、迎える新年を喜び、学校や幼稚園、地域でも様々なイベントが催され、会社ではプレゼントを配ったり、パーティーを開いたりするなど、いよいよカウントダウンが始まります。街が一年で一番活気に溢れる時期です。
お正月のシンボルは「新年のもみの木」
日本では、クリスマスに飾られるクリスマスツリーは、12月25日を過ぎるとすぐに片付けられ、門松などお正月を迎える飾り付けで街は一変します。
一方ロシアでは、もみの木はクリスマスツリーではなく、「新年のもみの木」としてお正月のシンボルになっているんです!そのため、もみの木に添えられる言葉は、「新年おめでとう!」。日本人には違和感を感じませんか?ロシアのもみの木は、日本の門松ような存在なんですね。
新年のもみの木は、12月中旬ごろから街中に飾られ、お正月休暇中はもちろん、その後旧正月もあるため、かなり長い期楽しむことができます。
ロシアのお正月の過ごし方
ロシアのお正月は家族で迎えるのが一般的です。それはほとんどの場合が自宅ですが、なかには様々なイベントが企画されている宿泊施設で迎える人も年々増加しているようです。
自宅で迎える場合、20時頃から親戚などが集まりだします。お正月料理を食べて飲んで、会話を楽しみながら12時が来るのを待つのです。赤ちゃんだって立派な家族の一員。筆者の子供達も0歳から毎年一緒に新年を迎えています!
12時前には恒例の大統領演説。その後、赤の広場の鐘が映し出されます。この鐘が12回鳴っている間に願い事をすると叶うと信じられているんです。12回目の鐘が響き終わると、ロシアの国家が流れる中、みんなで新年をお祝いします。乾杯はシャンパンと決まっていて、子供用にノンアルコールのシャンパンも用意されるんですよ!
ロシアのお正月料理をご紹介!
それぞれの家庭でそれぞれ伝統となっている料理が並びますが、一年で一番大切な行事なのでとても豪華で種類も豊富です!その中でも多くの家庭で作られている料理をいくつかご紹介します。
お正月のテーブルにイクラは欠かせません。たいていはパンの上にバターを少量塗りイクラをのせてオープンサンドでいただきます。ゆで卵を半分に切ったものや、サーモンの燻製と一緒にイクラを飾り並べられることも!高級品で普段はなかなか手が出ないイクラ…。11月になるとあらゆる情報網から品質保証のイクラ情報が入ってくる程です。筆者も今年の分はしっかり予約しました!
お正月のテーブルには、サラダが数種類並ぶのが一般的です。深夜にかけてのパーティーなのでお肉料理などは用意しても翌日に回ってしまうことが多いからです。その中でも定番中の定番サラダが上記画像のオリビエサラダ。茹でたじゃがいもと人参、塩漬けキュウリ、鶏肉やハムなどをキューブ状に切りグリンピースと一緒にマヨネーズであえます。最後にパセリやディルを飾り出来上がり!
こちらも定番「毛皮を着たニシン」というサラダです。塩漬けのニシン、茹でたジャガイモ、玉ねぎ、茹でた人参、茹でた赤カブをミルフィーユのように重ねていきます。ところどころでマヨネーズを生クリームのように塗るのがポイントです。一番外側の赤カブが、まるで毛皮のコートのようだということからこの名前がつけられました。
他にもフルーツやデザートもかかせません。1年で一番食べ続ける日かもしれませんね。
寒さの中に美しいイルミネーション
ロシアの冬は確かに寒いです。けれど、キーンと張り詰めた空気は防寒さえしていれば実はとっても気持ちがいいんですよ!そして、日本人にとって時期はずれのもみの木や美しいイルミネーションも冬の観光を盛り上げてくれます。
こちらは、赤の広場に冬季間だけ設置されるスケートリンク!クリスマスマーケットも開かれていて全く装いを変えた赤の広場を楽しむことができます。
こんなにも違う!ロシアの冬はおもしろい!
いかがでしたか?外国の人は少々混乱してしまうロシアのクリスマスとお正月!「国が変わればここまで風習が変わるのか!」と、ロシアの新たな一面を、面白く思っていただけたらうれしいです。
これから寒さが厳しくなるロシアですが、楽しいイベントに、美しいイルミネーションでみなさんをお迎えします!違うところが多いからこそ記憶に残る、そんなロシアにぜひ遊びにきてくださいね。
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