Category長野
夏の槍ヶ岳登山1泊2日レポ!初心者でも登れる登り方と共にキャンプ場を紹介!
日本の登山者の憧れ、夏の槍ヶ岳に登ってきました。難しい山ですが初心者でもアプローチが可能。岩場の多い上部の難易度がわかるように、山道の写真を多めに掲載。初心者が気を付けるべき岩場登りのポイントや、キャンプサイト情報の他、縦走情報もまとめています。
この記事に登場する専門家
冒険と登山が好きな自転車乗り
うなお丸
日本アルプスの代表・槍ヶ岳に登ってきました
こんにちは!うなお丸です。
槍ヶ岳は、日本人登山家にとっては憧れ。
先端が槍の穂先のようになった姿が特徴的な、北アルプスを代表する山です。
夏の槍ヶ岳に、1泊2日で登ってきましたので、レポートします。
初心者でもわかりやすいように、穂先をしっかりと登る方法や、装備やキャンプ地情報もまとめましたので、参考にしてくださいね。
槍ヶ岳の概要
槍ヶ岳は日本の北アルプスにある、標高3,179mの山。
山頂付近がとんがっていて、日本のマッターホルンという異名も持ち合わせています。
夜明けに槍ヶ岳の槍の部分に太陽が当たる姿は非常に綺麗でおすすめです。
槍ヶ岳登山の難易度
槍ヶ岳の難易度は中級から上級といえます。また、基本的には宿泊を伴う1泊2日から2泊3日の山旅となります。
初心者が登る場合は、山にもグループ登山にも慣れた人が一緒にいてくれると登りやすいでしょう。
途中まではなだらかな森林の中を歩いていくのですが、横尾山荘を通過してからは本格的な登りとなります。また、槍沢ロッジからは本格的ながれ場が続きます。
クライマックスとなる槍ヶ岳山荘から山頂までは角度が急になり、ハシゴや岩登りのルートとなっています。ここを登るには、三点確保の技術が必要です。
北鎌尾根の縦走ルートもありますが、上級者向けバリエーションルートとなるので、今回は一般的な上高地からのルートを紹介します。
バリエーションルートについては記事の最後にまとめています。
槍ヶ岳登山時期とルート
登山時期
8月10日~13日。
天候晴れ
ルート
1日目:松本~上高地~徳澤~横尾~槍沢~殺生ヒュッテ
2日目:殺生ヒュッテ~頂上~殺生ヒュッテ~横尾~徳沢~上高地~松本
槍ヶ岳登山1日目:松本駅から殺生ヒュッテへ
1日目は、早朝に松本を出発し、いくつかのキャンプ場で休憩しつつ、殺生ヒュッテまで進みました。
一般的な人で9時間~10時間ほどかかる道のり。
難易度が高い場所はありませんが、距離が長いので、体力をコントロールしながら進む必要があります。
松本駅から上高地までバスで移動
アルピコ交通で、松本から上高地へ行けます。
松本駅から新島々駅まで電車、その後路線バスで行きました。
時刻表はこちら
運賃は電車とバスを合わせて2,500円(往復チケット4,600円)です。
また、岐阜県側からもバスが多く出ています。岐阜県側は電車の時刻が松本よりも早く、町としては松本の方が大きいという違いがあります。
マイカーで向かう場合、中の湯から先は通年マイカー規制のため、松本側からであればさわんど駐車場に車を停め、そこからバスに乗ってください。
上高地バスターミナルの詳細情報
さわんどバスターミナルの詳細情報
入山届を提出!
上高地のビジターセンターで、入山届を提出しました。。
私はアルプスの山に入るときは、必ず登山計画書と入山届を提出しています。
アルプスでは夏場でも遭難事故が絶えないので、こういうのがお守りがわりになると思っています。
(入山届を家から持ってくるのを忘れた場合でも、上高地のビジターセンターに届けを書き、投函出来るスペースがあります)
上高地〜徳沢:1時間
上高地から徳沢までは自然の中の遊歩道を歩くコースとなり、1時間ほどの行程でした。
途中、山荘なども少しありますが、トイレや水場は何もありませんので、トイレなどは上高地で済ませておきましょう。
サルを始めとする動物や、植物の数々を見ながら森林ウォークを楽しめます。
1時間ほど歩くと、芝生の広場が見えてきて、そこが徳沢園となります。
徳沢園は、ソフトクリームがおいしい喫茶コーナーをはじめ、宿泊施設を備えています。
下山中の良い基地としても機能しているほか、トイレ、水場などもありますので、補給をしてから横尾方面へとむかいました。
行きに2泊で宿泊を考える場合は、ここでの宿泊をおすすめします。理由としては、
・トイレが綺麗
・水場が近い
・徳沢園に喫茶があり気晴らしができる
などのほか、なにかがあった時は建物の中に宿泊が可能である、などが上げられます。
井上靖の小説、氷壁の舞台になった宿としても有名です。
徳沢〜横尾:1時間
徳沢園から横尾までも1時間ほど。
少し森林の様子が変わります。
樹林が少し減った中、単調な道を歩きます。多少のアップダウンがありますが、大きな高低差はなく、平坦な道を延々と歩いていくようなルートとなります。
横尾山荘は水場、トイレなど必要最低限の設備を兼ね備えてはいますが、簡素な感じの山小屋でした。
ですが、この山荘も時間帯によってはかなり多くの人たちで賑わいます。
その理由としてはこの横尾山荘が槍ヶ岳方面と穂高方面への分岐点という事が挙げられるからです。
横尾〜槍沢:1時間40分
横尾山荘から槍ヶ岳方面に足を進めると、ようやく槍ヶ岳の姿が見えてきます。
横尾山荘までの道とは違い、階段のように段になった道が続いていきます。
槍沢ロッジの手前は結構な急坂なので、足元を確認しつつ、ゆっくりとしたペースで進みましょう。
槍沢ロッジの手前は結構な急坂なので、足元を確認しつつ、ゆっくりとしたペースで進みましょう。
槍沢ロッジにはランチタイムにお店が開き、軽食をとりつつ休憩をすることも可能です。
キャンプ地の申し込みもここで行う事ができます。
槍沢ロッジのキャンプ場は少し槍沢ロッジから離れた場所にあるので注意が必要です。水場などはあらかじめ確認しておきましょう。
槍沢〜殺生ヒュッテ:3時間半
槍沢から槍ヶ岳山荘までは、小さめの岩が転がるガレガレの岩場を歩いていきました。
坂道も本格的になって、つづらおりの道を延々と殺生ヒュッテまで登ります。
途中、大曲と呼ばれる西鎌尾根に抜ける水俣乗越を越えると、更に斜度が増していきました。
真夏でも雪が残る雪渓を横切る場所も。
殺生ヒュッテでキャンプ
3時間半ほどで、殺生ヒュッテに到着。
1泊2日の行程だと、大抵の人が、槍ヶ岳山荘かその手前の殺生ヒュッテに泊まります。
基本的には殺生ヒュッテに泊まる登山者がほとんどとなります。
穂先に最寄りのキャンプ場は槍ヶ岳山荘なのですが、槍ヶ岳山荘のキャパが少ないこと、それからテントを張ったまま山頂アタックする場合は、ほぼ空身で2時間(殺生ヒュッテ~山頂間)を過ごせるというのも大きいでしょう。
私も殺生ヒュッテにテントを張りました。
翌日は早くに行動を開始するため、ぱっぱとご飯を食べ、シュラフに包まって就寝。
槍ヶ岳登山2日目:殺生ヒュッテ~登頂~松本
2日目は未明の内に登山を開始し、山頂で朝を迎えました。
アルプスの峰々を照らして登りくる朝日は、心に焼き付く美しさ。
ここまできてよかった、と思える瞬間です。
その後、上高地バスターミナルまでせっせとおり、最終バスで松本市内に戻りました。
殺生ヒュッテ〜穂先の麓:1時間
翌朝、3時に起き、4時半に行動を開始しました。
登頂するために必要な、カメラ、水筒、タオルなど必要最低限の荷物をサブバッグに詰めて、それ以外は殺生ヒュッテに残したテントに置いていきました。
殺生ヒュッテからは右手に槍ヶ岳の大きな槍の姿を眺めながら、1時間ほど登ると、いよいよ槍ヶ岳の中心部、天にそびえる穂先に取りかかりました。
穂先の登攀:1時間
槍ヶ岳登山の核心部です。
ここまでなら、初心者でも体力があれば登ってこられましたが、この先は危険な箇所もあります。
覚悟を決め、焦らないように登り始めました。
角度のある岩場をよじ登っていきます。
片手を離したときはもう片方と両足が、片足を離したときは両手ともう片足がしっかり岩場をとらえているように意識して、三点確保の基礎を守って登ります。
角度の急なエリアでは、しっかりとしたハシゴが設置されていて、少しほっとできます。
ただし、細い道で、後ろに登山者がどんどんやってきますので、長い休憩はできませんでした。
登りルートと下りルートの重複箇所もありますが、譲り合いのルールを守って登りました。
しばらくもたもたしていると、後ろに長い列ができますが、焦らないようにしてください。
登頂6:30 !
落ちたら死ぬ、と自分に言い聞かせながら慎重に登り、ついに山頂にたどり着きました!
山頂から見渡す北アルプスの山々。
極上のひとときでした。
山頂スペースは広くないので、少し撮影を楽しんだら下山を開始しました。
下山:8時間
山頂からの下りは事故が発生しやすい区間。
足元がよく見えないので、慎重に降りていきます。
槍ヶ岳山荘まで降りると、後はガレ場や森林帯が上高地まで延々と続きます。
途中、殺生ヒュッテでテントを回収し、あとはお茶休憩を挟みつつ上高地まで降りました。
松本へのバスは、夏場の最終が18:45ですが、混みあうことが予想されるので17時台のバスに乗るためにせっせと歩くことに。
この道は、下りですが、わりと足にきました。
なので、帰りに徳沢園で宿泊するコースを取る人も少なからずいます。
槍ヶ岳登山の装備
夏の槍ヶ岳の服装
化繊の半袖シャツ
化繊の長袖シャツ
登山ジャケット
マフラータオル
登山ズボン
靴下
ローカットの登山靴
着替え
化繊の半袖シャツ2枚
長袖シャツ1枚
厚手の靴下1足
殺生ヒュッテは標高2,860mにあり、最低気温は8月でも10度を下回ります。
防寒着にするためにま、長袖の着替えがある方がいいです。
夏の槍ヶ岳の持ち物
80リットルザック
20リットルザック(アタック用)
ストック
テント
グランドシート
銀マット
クッションマット
シュラフ
シングルバーナー
ガス缶
コッヘル
マッチ
魔法瓶
水筒
カトラリー
水
チョコレート
カロリーメイト
袋ラーメン
アルファ米
レトルトカレー
フェイスタオル、ティッシュ
緊急セット
ツェルト
十徳ナイフ
ヘッドライト
カメラ
スマホ
地図
ナイロン袋数枚(荷物の小分け、防水、ゴミ袋用)
夏山装備であれば、水を必ず持っていきます。
ナルゲンのボトルは湯たんぽなどにも使うことが出来て非常に重宝しました。
上高地ルートの各キャンプ場
キャンプ地は以下の場所があります。
北アルプスは全域が国立公園に指定されているので、かならず指定された場所でキャンプを行い、ゴミは持ち帰りましょう。
キャンプ場①上高地バスターミナル近く【小梨平野営場】
250張
周囲に温泉、土産物屋などが多く、のんびりと過ごせるキャンプ場です。
河童橋など、上高地のメイン観光スポットにもほど近く、賑わっています。
近くの嘉門次小屋では名物イワナの塩焼きが販売されていて、美味しい。
上高地バスターミナルから徒歩5分から10分ほどです。
森林に囲まれた、綺麗なキャンプ場で、河童橋や吊尾根の美しい姿を望む事ができます。
小梨平野営場の詳細情報
キャンプ場②広々とした芝生が美しい【徳沢キャンプ場】
100張
芝生が特徴のキャンプ場です。
水場、トイレなども清潔で、アンティーク調の山荘も非常に綺麗。ソフトクリームが有名で、喫茶店にも非常に色々なメニューがあります。
夏場は虫が多いのでその点だけは気をつけてください。夜のトイレは特に虫が多かったです。虫よけスプレーがある方がいいです。
穏やかで過ごしやすいキャンプ場。
ここまでの道はなだらかで歩きやすいので、ファミリーキャンプも楽しめます。
徳沢キャンプ場の詳細情報
キャンプ場③涸沢ルートとの分岐点【横尾野営場】
100張
こちらの山荘は基本的な装備が整っているキャンプ場となります。
穂高連峰の入り口である涸沢と槍ヶ岳の分岐点となっている箇所なので、大勢の登山家が通過しています。
使い勝手のいいキャンプ場ではありますが、少し殺風景な事と、ここに泊まるなら先に進むという人が多い印象を受けます。
横尾野営場の詳細情報
キャンプ場④槍ヶ岳が見える【槍沢ロッジキャンプ(ババ平)場】
60張
槍沢キャンプ場は、槍ヶ岳を望めるキャンプ場。
水場と水洗トイレがあります。
槍沢ロッジから30分ほど離れた場所にあるのですが、そういった事を除けば過ごしやすいと言えるでしょう。
槍ヶ岳の行きに利用するよりは帰りに利用するキャンプ場というイメージです。
槍沢ロッジの詳細情報
キャンプ場⑤1泊2日ならおすすめ【殺生ヒュッテ】
50張
1泊2日で槍ヶ岳登山に行く場合、上高地から1日でここまで行くのがポピュラーなルートとなります。休憩時間を入れて、9時間~10時間ほどで到着できます。
槍ヶ岳山荘まで行っても、ハイシーズンの場合はテント場が無いという理由でこちらに回されることがあるため、上高地から槍ヶ岳に向かう場合は基本的にこちらに泊まる事となります。
雨水の販売(100円/リットル)があり、トイレもあります。山荘には乾燥室など、山で生活する上での基本的な設備が整っていますし、もちろん山荘での宿泊も可能となっています。
地面は岩がごろごろしている中に平たいスペースがある、と言う感じなので、岩を少しのけてテントを広げ、大きめの岩にテントのロープを括り付けて固定していました。
殺生ヒュッテの詳細情報
キャンプ場⑥頂上間近【槍ヶ岳山荘】
30張
槍ヶ岳の真下にある山荘です。基本的な設備のほか、殺生ヒュッテよりは少ないですが、テント場がしっかりとあります。双六方面などに歩く場合もこの山荘を利用する事が出来ますが、基本的には一杯になるハイシーズンなどは断られることも。基本的な装備が整う山荘として知られています。
槍ヶ岳山荘の詳細情報
バリエーションルートも紹介!
バリエーション①東鎌尾根から大天井岳へ
表銀座縦走コースを通り、先は燕岳へと至るコースです。
槍ヶ岳を眺めながら山行きを楽しめ、上高地側、また、大糸線側に抜けることが出来るコースともなっています。
こちらのルートはそれほど難所がないので人気コースの一つで、初心者から踏み出したい人に非常におすすめです。
バリエーション②西鎌尾根を経て双六岳へ
少し槍ヶ岳の奥、北アルプスでも行く人が少ない中~上級者コースになります。
双六岳は槍ヶ岳、穂高岳が綺麗に見えることで有名です。
稜線が大変に広く、また景観も美しいので、ぜひカメラを持って行ってください。
西鎌尾根を経てさらに日本海方面へと向かうと、鷲羽岳などの日本百名山がいくつもあるほか、北アルプス全山縦走のルートにもなっています。
数日かかるルートなので、多くの装備や食料が必要となります。
バリエーション③日本の難ルートの一つ、大キレットへ
アルプスにある難所、大キレットに足を踏み入れるルート。
毎年のように事故が発生するルートではあるのですが、私にとって、いつかは訪れてみたい、そんな憧れのルートです。
高度感がきつく、達成感がかなりあります。
奥穂高岳や前穂高岳へも行くことが可能で、いくつかの山頂を踏みながら、美しい涸沢を見下ろして楽しめる山行になるでしょう。
槍ヶ岳は一歩一歩大切に登れば登頂できる
8月の槍ヶ岳登山の様子をまとめました。
初心者が登るには難しいと思われがちですが、体力を付けたり三点確保の練習をしておけば不可能な山ではありません。
焦らず、気負わず、楽しく登ればやがて登頂することができます。
槍ヶ岳に登れたなら、脱初心者と言っても過言ではないでしょう。
この記事を参考に、槍ヶ岳に挑戦してみてくださいね!
筆者のインスタグラムはこちら
モナ王(@mona_ou315)
📷 Nikon D5600/Nikon1 J5風景や旅の写真などを投稿します。
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