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香港には2つのトラムがある!乗り方や乗り心地・歴史を香港通が紹介!
香港に来たら、一度はトラムに乗ってみて!そのひとつは珍しい路線図を描き香港島を東西に走るガタゴト路面電車の「トラム」、そしてもうひとつは観光名所「ビクトリア・ピーク」目指して山を登っていく「ピークトラム」。どちらもレトロ感たっぷりの車両です。運行状況もご紹介!
この記事に登場する専門家
香港好きライター
zuenmei
香港に行ったら乗ってみたい、香港の2つのトラムとは?
こんにちは!香港好きライターのzuenmeiです。香港に行くと「トラム」と呼ばれる乗り物が2つあります。
ひとつは日本語では路面電車と呼ばれるもので、香港島のヴィクトリア湾沿岸を東西に横断しているトラム。そしてもうひとつは、香港の観光名所「ビクトリア・ピーク」をめがけて山を登っていくピークトラムです。
どちらも香港にはじめて行った頃にはよく乗っていたのですが、リピーターになるほどにあまり乗らなくなる傾向にあります。でも今日は香港のトラムの魅力を再確認してみたいと思います。
トラム①ピークトラム
運行時間は7時~24時。乗り方は、チケットを買って乗るかオクトパスカードを使って乗ります。料金は大人往復45HKドル(約640円)ですが、片道32HKドル(約450円)を買って、帰りはピークトラムよりは比較的空いている15番Aのバスで帰ってくるというのも手です。
なお、ピークトラムは夜は夜景を見ようと言う人で大混雑ですが、優先乗車できるチケットなども発売されているようです。
なお、帰りのバス停はピークタワーの建物から坂道を上がった道沿いにある「渣甸橋」(ジャーデン・ブリッジ)あたりから乗ると混雑を避けて乗れます。
トラム②香港島を走るトラム
香港のもうひとつのトラムは、香港島のヴィクトリア湾沿岸を東西に走る路面電車です。東側は筲箕湾(そっけいわん)と西側は堅尼地城(ケネディタウン)までを走り、時々ループ状の路線を走っている区域があり、路線図は少々複雑になっています。
料金が大人一律2.6HKドル(約37円)ですが、これでも値上げされたほうだと言われています。
こちらも週末などには乗り切れないほどの混雑が予想され、スリなどにも注意が必要です。また、次の駅を知らせるアナウンスなどもないため、2階部分に乗っている時などはとくに乗り過ごさないか注意が必要です。
香港の2つのトラム。その歴史は?
香港のビクトリアピークの斜面を走るピークトラムと、香港島の街中を走るトラム。果たしてその歴史はどのようなものなのでしょうか?
トラムの歴史①観光客なら1度は乗る【ピークトラム】
1888年5月開業で、130年を超す歴史を持つピークトラム。運営者があのペニンシュラホテルだということはあまり知られていません。
車体はえんじ色でところどころに洒落た装飾が施され、イギリス統治時代を思わせるシックさです。
香港の3つの指に入るほどベタな観光地である「ビクトリア・ピーク」に登るためのトラムだと思われていますが、実はイギリス統治時代に、涼しい太平山の中腹に住むイギリス人のために設置されたと言われています。
現在でも香港のお金持ちはビクトリア・ピークの山の中腹あたりに住んでおり、ピークトラムは「ベンツが故障したときに使う」電車とされています。
なお、途中の駅から乗るときはホームの「乗車ボタン」を押すと電車が止まりますが、満員の時は乗ることが出来ない場合もあります。また、途中の駅で降りるときはあらかじめ、運転手に申告が必要なのだそうです。アナログな魅力がたまらないですね!
トラムの歴史②香港島を東西に走るレトロな【トラム】
1904年開通、いまではイギリスのブラックプール市とエジプトのアレクサンドリア市にしか残っていない貴重な2階建て車両が使われています。その乗り心地はガタゴトと音を立て、レトロそのもの。アナログ感あふれる癒やし系の乗り物です。
ほとんどの車両にラッピング広告が施されており、香港名物となっています。この広告の広告主は地元の企業のこともありますが、CHANELやDIOR、NIKEなど国際的なブランドのこともあり、とてもおしゃれなのでインスタ映えするため、観光客が写真を撮っている姿もよく見られます。
出典:香港トラム - Wikipedia
出典:Wikipedia
ja.wikipedia.org
1980年にMTR港島線の開通を前にして、並行して走るトラムの廃止も検討されましたが、市民アンケートによって存続されたというエピソードもあります。
料金は安いけど遅くて夏は暑いトラムですが、やはりガタゴトと走るトラムは香港の人々の心のよりどころとなっているのかも知れません。
ヴィクトリアピークまでの10分間【ピーク・トラム】で夜景を堪能する
130年の歴史を誇る、レトロ感あふれるピークトラム。たったの10分ですが、車窓からは素晴らしい100万ドルの夜景が見られるのです。夜景の見える席を確保するにはどうすればいいのでしょうか?
【ピークトラム】の乗り方解説①まずはピークトラム山麓駅へ向かう
ピークトラムの乗り方は、まず香港島・中環の埠頭のバスターミナルから15番バスで太平山のふもとにある「ピークトラム山麓駅」へ行きます。ちなみに15番Aのバスだとピークトラムに乗らず、一気に山頂まで行けます。
ピークトラム山麓駅は観光客で昼も夜も大賑わい。特に夕方から夜にかけては夜景を鑑賞しようとする人でごった返しています。チケット売り場も大混雑で時にはチケットを買うだけで1時間かかるなどということもありますので、できればオクトパスカードなどを持っていたほうがいいでしょう。
また、最近では「優先乗車ができるチケット」や「展望台とセットになったチケット」などが売られているようですので、それを利用するのもいいかも知れません。
ピークトラムは時間帯にもよりますが、だいたい10~15分間隔でやってきます。だいたい1回で乗れる人数が限られていますので、待ち時間が長い場合もあります。
山の麓ですので、ホームに立っていると夜などはけっこう冷える時もありますので、ストールや薄手のジャケットなど何か羽織るものがあると便利でしょう。
【ピークトラム】の乗り方解説②夜景がよく見える側はどちら?
ようやくトラムに乗り込むことができました。標高差343mの山の斜面を10分かけて、ピークトラムは登っていきます。2両編成で最大斜度は27度。ケーブルカーというと最初から車体が斜めになっている場合が多いですが、このピークトラムの場合は普通の電車の形状です。
そのかわり、床面が逆カマボコ状態の凹凸があるつくりとなっています。これは駅に停車しているときの勾配に配慮したためと言われています。
ピークトラムには駅もあり、山頂につくまでに5つの駅を通過します。3つ目の駅を通過したあたりから3人がけの進行方向右、海側には中環のビル群が見え始めます。
それまでは鬱蒼とした緑の中を通行していたのですが、急にビル群が見え始めるため、乗客の中からはわーっという歓声も上がります。カップルだと2人席に座りがちですが、景色を見るためには行きは3人席に座りましょう。
最大傾度27度で走っていますのでビル群が斜めに見え、映画「ブレードランナー」の世界のような、少し不思議な感覚になります。
【ピークトラム】の乗り方解説③ピークトラムの料金は?
ピークトラムの運行時間は7時~24時。乗り方は、チケットを買って乗るかオクトパスカードを使って乗ります。料金は大人往復45HKドル(約640円)ですが、片道では32HKドル(約450円)です。なんと片道あたりの料金は往復で買うほうが安いのです。
山頂駅に着くと、ピークタワーの1階と接続しています。ピークタワー最上階の「スカイテラス428」(有料:52HKドル・約740円)では、360度景色が見渡せ、スマートフォンで無料Wi-Fiに接続して、QRコードを読み込むと、香港の建築や町並み、歴史などの日本語解説もあるスカイツアーが体験できます。
【ピークトラム】の詳細情報
香港島を東西に走る【トラム】の乗り方解説
それでは香港のもうひとつのトラム、香港島を東西に走る「トラム」の乗り方についてご紹介します!
【トラム】の乗り方解説①香港島を東西に走るトラムは後ろ乗り前降り
香港島の東側の筲箕湾(しゅっけいわん)と西側の堅尼地城(ケネディ地域)の海沿いをゴトゴトと時速30~40キロで走行するトラム。端から端までは約80分です。
トラムの駅はなんと道の真ん中、中央分離帯に一段高くしてプラットフォームが作られています。横断歩道が青になったら渡り、道の真ん中のトラム駅のプラットフォームに立ってトラムを待ちましょう。
トラムには正確な時刻表はありませんが、ラッシュ時には約90秒間隔で次のトラムが来ます。時にはトラムの数珠つなぎになっている時もありますが、行き先が違う場合もあるので、よく行き先を見て乗りましょう。
乗る時は後ろから、そして降りる時は前からで料金もその時に払います。かつては2階席が1等車、1階が2等車でしたが、現在はその区別はありません。通勤時間帯や週末などにはとても混んでいるときがありますので、2階に乗っている場合、降車駅の一つ前には降りる準備をしたほうがいいでしょう。
【トラム】の乗り方解説②香港島を東西に走るトラムの料金は?
それではトラムの料金はいくらなのでしょうか?
2018年現在で一律大人2.6HKドル(約35円)。65歳以上だと半額程度になります。1駅だけ乗ろうが、端から端まで、80分間乗ろうが同じ料金です。
香港トラムの楽しむ方と言えばタイムラプスもオススメします。今時のスマホの進化を実感します。 pic.twitter.com/7Y5ZCPj4O0
— 香港旅々倶楽部@2020/05/17活動休止 (@HKTTC_event) October 26, 2019
また最近では、トラムの中でパーティーをしたり、結婚式をしたりといったイベント型の利用もできるようです。昔は冷房設備もなかったですが、近年はまだ一部の車両ではありますが設置されているので、より快適に過ごすことができるようになりました。
香港でアンティークトラム28號の貸切パーティをしてるところに出会った。
— meg (@megmmeg) June 27, 2019
食事を持ち込んでダンスもしてて楽しそう。#香港 #Hongkong #hongkongtram #hktram #hktram28 #香港電車 #香港電車28 #派對電車 pic.twitter.com/xiKl1tEIA9
【トラム】の乗り方解説③トラムの駅がわかるアプリは?
香港島を東西に走るトラムは、駅名のアナウンスをしないので、自分で今どこを走っているかを確かめることが重要です。そんなときに便利なのが「Ding Ding」というアプリ。
アイコンも電車マークで可愛く、今どこを走っているか、MTRの乗り換え駅も教えてくれます。
HK DingDing Hong Kong Tramways
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apps.apple.com
【トラム】の詳細情報
両トラムはデモで運行不能になったことはあるの?
ピークトラムもトラムも、週末のデモなどでは運行不能になったことはあります。
ピークトラムの駅などにデモ隊が集まったり、トラムの運行する道でデモが起きたりということは週末を中心にほぼ毎週ありますので、両トラムの運行に影響することはあります。
コーズウェイベイ、先週に続き今週も政治デモ。
— 橘拓也@HongKong (@TMax2525) June 9, 2019
トラム、バスが止まるので大混雑です。 pic.twitter.com/5YTGmGVbNK
また週末でなくてもゲリラ的に届け出をしていないデモが行われることもあるようですので、行けばかならずトラムに乗れるかどうかはその時の運次第。デモ情報には最新の注意を払う必要があります。
デモの影響の他には、ピークトラムは2019年4月23日から7月22日まで3ヶ月間運休していました。これは現在の牽引、制御システムを新しくして車両も大型化し、待ち時間を70%減少するというものです。
またこれは段階的な工事なので2020年夏頃から再び5ヶ月間運休し、2021年初頭には新システムの運行となるようです。
香港に来たら一度はトラムを体験しよう!
香港の2つのトラム、ピークトラムとトラムをご紹介しました。
どちらもレトロでイギリス統治時代を思わせるシックなデザインですね。最近ではデモによって時々運休になるようで、ほんとうに残念なことです。
またピークトラムは設備の老朽化により段階的に2021年初頭まで数ヶ月の運休をしてリニューアルをするようですので、注意が必要です。次回の運休は2020年夏頃から5ヶ月間です。