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ラマダン期間に旅行をする際に注意すべきこと5つ!治安は大丈夫?食べ物は?
イスラム教の断食月であるラマダン。この間、イスラム教徒たちは日中飲食をしません。ラマダンがどういうものなのか、旅行はできるのか。想像もつかない方が多いんじゃないかと思います。ラマダン中にイランやトルコを旅した筆者が、ラマダン期間の旅行のアドバイスを紹介します。
この記事に登場する専門家
女性ソロトラベラー
あずさ
ラマダンの概要
こんにちは!現在世界一周中のソロトラベラー、あずさです。
私は2019年4〜5月に、イランやトルコなどのイスラーム教の国々を巡りました。
旅行中、ラマダンのことなんて頭になかった私。ラマダン開始前日、「明日からラマダンが始まる」との話を聞き、慌てました。
イランは、イスラーム教が国教の国。国家をあげてラマダンを行なっており、ほぼ全てのレストランが日中営業を停止するらしい・・・。他の旅行者とともに、「明日からご飯はどうすればいいんだろう?」と不安に思っていました。
ここでは、そんな本場でラマダンを体感した筆者の経験をもとに、ラマダンってなんなのか、旅行の際のアドバイス、などをお伝えしようと思います。
ラマダンとは?
ラマダンとはイスラーム教の断食月のこと。
この月にコーランが預言者ムハンマドに啓示されたと言われており、ラマダンは聖なる月として認識されています。
この期間中、敬虔なイスラーム教徒たちは日の出から日没まで(実際には国によって少しずつ規則が異なります)飲食をしません。また、飲食だけではなく喫煙や性行為なども禁止され、この期間中は言動も慎みます。
ラマダン中、ラマダンを行なっているムスリムたちは、日没から日の出までの時間に飲食を行います。特に最後のお祈りの後に食べる食事「イフタール」は彼らにとってとても重要な意味を持っており、家族や友人が集まって豪華な食事をとります。
ラマダン明けには、断食の終わりを祝う「イド・アル=フィトル」という祭りが催され、家族や友人の間でお祝いをします。
ラマダンの目的
断食は、ヒジュラ(ムハンマドや信徒たちがメッカでの崇拝を諦め、別の地域へ移住した出来事)の苦しみを追体験するために行われます。
また、自己犠牲や、飢えた人への共感を育むことも重視しており、この期間中、貧しい人への寄付が多く行われるそうです。
トルコ東部で出会ったとあるイスラーム教徒に話を聞いたところ、「自分でやりたくてやっているから、全然苦しくない」と言っていました。断食するかしないかは、自分自身の宗教心の問題のようでした。
ラマダンはいつ行われるの?
ラマダンは、イスラーム暦(ヒジュラ太陰暦)の9ヶ月目のこと。
イスラーム暦は太陽暦に比べ毎年約11日のズレが生じるため、季節とは関係がなく、期間が年によって少しずつずれていきます。
2019年は5月5日から6月3日に行われました。2020年は4月23日から5月23日に予定されています。
ラマダンに関する行事
イフタール
ラマダン期間中、ラマダンを行なっている人々は日没後〜日の出までの間に食事を摂ります。
日没後断食を解く食事として特に重要なのが「イフタール」と呼ばれる食事。
家族や友人同士で語り合いながら食事を楽しみます。たくさん食べるものだから、ラマダン中に太る人が多いんだとか・・・。
筆者もトルコでイフタールに招かれ、「食べて食べて!」とたくさんの食べ物をいただいたのですが、ラマダン中に太る人が多いことを理解しました・・・。
イド・アル=フィトル
ラマダンが終わると、ラマダン明けを祝う祭り、「イド・アル=フィトル」が催されます。
断食(フィトル)の終わりを祝う祝宴(イド)、という意味で、3日間に渡り人々はラマダンが終わったことを祝います。
国によっては、ラマダンが終わってから長い休暇に突入するところも。
イスラム教徒の多い国、コソボの首都を訪れた時この祝日と被ったのですが、ほぼ全てのレストランが閉まっていました。観光の際には注意してください。この写真はその際撮ったコソボの首都のメインスクエア。人通りが少なく閑散としていました・・・。
ラマダン期間に旅行をする際の注意点5つ
①相手の宗教を尊重しよう
ラマダンは、イスラム教徒にとって重要な行事。いつも以上に、イスラーム教徒に配慮した生活が求められます。
旅行者は、人目につくところでの飲食や喫煙を控えた方が良いでしょう。
また、露出度の高い服装を避けるなど、イスラム教を尊重する行動を心がけましょう。
行動によっては、他のイスラム教徒との間でトラブルになったり、警察の事情聴取を受けたり、罰金を科せられたりすることもあるそうです。
②飲食店の営業時間に注意しよう
大都市や観光地では気にする必要はないのですが、筆者の訪れたトルコ東部の田舎町やイランでは多くのレストランやカフェが日中閉まっていました。
日中、レストランを見つけられなかった時のために、果物を持ち歩いたりしていると安心です。ちなみにスーパーマーケットや市場は通常通りオープンしており、野菜や果物、飲み物やパン、お菓子等を購入することができました。上の写真はイランで見かけたパン屋さん。ラマダン期間中限定のパンを売っていました。
ラマダン期間中、多くのレストランは日没後にオープンします。筆者の訪れたトルコ東部の街では、夜中の12時近くまで通りには老若男女関わらず人が溢れており、その活気のある様子に驚きました。こちらも少し行動時間を遅めにすると、彼らのラマダン中の生活がどんなものか見ることができて面白いでしょう。
③役所の営業時間にも注意しよう
ラマダン期間中は、官公庁など役所の業務時間もいつもと変わっている可能性があります。
何か手続きをしなければならない、という時には混雑が予想されるので、早めの行動を心がけましょう。
④人とのコミュニケーションに注意
ラマダン中、人々は日没後から日の出前にかけて飲食をします。そのため、寝不足などで人によってはいつもより判断能力が鈍っていることも考えられます。
些細なことで事故が発生したり、トラブルにつながる可能性もあります。
いつも以上に注意を払って行動しましょう。
⑤テロに注意
ラマダン期間中やその前後は、テロ発生のリスクが高まる傾向にあります。
テロの標的となりやすい宗教施設や軍や警察関連施設、大使館などを利用する際は長時間留まらないようにしたり、用がなければあまり近づかないようにしましょう。
また、ショッピングモールやエンターテイメント施設などの多くの人が集まる場所ではいつも以上に注意を払ったり、でもや集会には近づかないようにしましょう。
また、テロ防止のためセキュリティが強化されていることも予想されます。空港などではいつも以上に時間がかかることが予想されるので、余裕を持って行動しましょう。
筆者が経験!ラマダンの素敵な体験
ここまで、いくつかラマダン中に旅行をする際に注意すべきことを挙げました。
なんだか怖そう・・・と思わせてしまっていたらすみません。
注意していれば怖いことはなく、筆者はラマダン期間中に旅したイランやトルコでは、ラマダン期間ならではのとても素敵な体験をすることができました。
ラマダン期間中の素敵な体験①〜イフタール
日没後の断食を解く食事、イフタール。
この時間、イスラム教徒たちはお腹いっぱい食べ、語り合います。
レストランでは日没が近づくと、屋外にまで机を並べ、お皿やフォークを準備しているのをよく見かけました。日が沈むと、多くの人が集まってきて食事をとります。
私は、日没直前に道を歩いていたところ、通りがかったお菓子屋さんで「イフタールを食べて行きなさい」と誘われ、なんと3日間も美味しいご飯をご馳走になりました。
他にも、別のお店の人からデーツをいただいたり、「明日はうちにおいでよ!」と声をかけてもらったり。ラマダンは、「何か人とシェアする」ことを皆が率先して行う、とても暖かい期間でもあるのです。
ラマダン中の素敵な体験②〜路上チャイ
ラマダン期間中、トルコ東部の街、ドゥバヤジットのメインストリートには、日が暮れると路上にチャイ屋が出現していました。
このようなチャイ屋さんでは、火をくべて沸かしたチャイを、椅子に座って飲むことができます。少し肌寒い、5月の日暮れ後のトルコ東部。路上で飲む暖かいチャイは、格別のものでした。
ラマダン期間中の旅行は不可能ではない
外務省の海外安全ホームページには、「ラマダン月に伴う注意喚起」として、ラマダンの時期のテロの危険を避けるためにとるべき対策がまとめられています。
もちろん注意はすべきですが、ラマダン期間中の旅行は不可能ではありません。
ラマダン中の旅行を経験した筆者からすれば、むしろ、人の温かさや信仰心に触れることのできるとてもいい機会でした。
もしラマダン月にイスラム諸国を訪れた際には、相手の宗教への尊敬の気持ちを忘れずに、いつもとは違う雰囲気の街を楽しんでみてください。きっと素敵な思い出になるはずですよ。
筆者、あずさの2018年12月からの世界一周旅行の記録。
約8ヶ月間で東南アジア、南アジア、西アジア、バルカン半島、東欧、北欧、ロシアを巡りました。
トルコやイランの記事も書いていますので、チェックしていただけたら嬉しいです!
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