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ニュルンベルクのクリスマスマーケットの世界観に飲まれる!ドイツ在住者がその魅力を解説!
いつか行ってみたい、本場ドイツのクリスマスマーケット。星の瞬きのようなイルミネーションに子供の頃の夢が詰まったような可愛らしいオーナメント、そして欠かせないのが美味しい食べ物。世界が憧れる三大クリスマスマーケットの一つ、ニュルンベルクにようこそ!
この記事に登場する専門家
ドイツ在住主婦ライター
うおこ
クリスマスマーケットが誕生した国・ドイツ
こんにちは、ドイツ在住主婦ライターのうおこです。
ドイツでは古今東西、老若男女全ての人がクリスマス謳歌すると言っても良いほど盛り上がります。初めて本場の空気感に触れた時は圧倒されて頭がくらくらしたほどでした。
それもそのはず。今や日本でも知られるクリスマスマーケットはドイツ発祥なのです!
クリスマスの準備のために広場で物々交換が行われたことが起源だとか。
諸説ありますが1434年にドレスデンで行われたものが最古と言われ、今回ご紹介するニュルンベルクも1628年からの歴史を持っています。
また、ツリーを飾る風習もドイツから広まったとされています。
聖なる日を心待ちにしながら人々は集い、クリスマスを彩る装飾品やプレゼントを求め、美味しい食べ物で心温める。煌めく灯りはそんな人々の笑顔を浮かび上がらせる。
長い歴史に刻まれたドイツのクリスマスが人々にとっていかに大切なものか、イメージが湧いてきたでしょうか?
今回はドイツ各地で開催される中でも特に評判の高い、三大クリスマスマーケットのひとつ、ニュルンベルクの魅力を余すところなくお届けいたします!
三大クリスマスマーケットのひとつ、ニュルンベルクの魅力
ドイツ国内には「三大クリスマスマーケット」と称されるマーケットがあります。「世界最大のシュトゥットガルト」「世界最古のドレスデン」「世界一有名なニュルンベルク」。
毎年200万人もの人が押し寄せますが、ただ規模が大きく綺麗なだけでは他にも存在するマーケットと変わりないでしょう。では、人々を魅了する秘密とは?
それは独自の世界観にあります。
①テーマ性、オリジナリティに溢れた世界
比類なきニュルンベルクのクリスマスマーケットの最大の特徴は、テーマ性・オリジナル性ともに優れている事が挙げられます。
正式名称を「Christkindlesmarkt(クリストキンドレスマルクト)」と言い、シンボルとなるのは天使。マーケットの装飾や屋台で販売されている小物にも登場しますのでお見逃しなく。
②中世の雰囲気さながらの、極上の美しさ
威風堂々たる城を擁し、城壁で囲まれた旧市街は中世の面影が漂います。文化史的価値の高いこれらの建造物を背景に行われるマーケットは、ただキラキラとしただけのものとは違い、格別な雰囲気を醸し出します。
③ソーセージや焼き菓子などオリジナルの食べ物が充実
どこのクリスマスマーケットでも食べ物は似通いますが、ここではオリジナルの食べ物も充実しています。
ニュルンベルクと言えば、人の指ほどの小さなサイズのニュルンベルガーソーセージが有名ですね。クリスマス時期には欠かせない焼き菓子・レープクーヘンの名店もこの街のもの。屋台では本場の味を存分に楽しむことができます。
人々の想いが込められたニュルンベルクのマーケット
ニュルンベルクの歴史について少しお話ししましょう。
今でこそ「世界一有名」の地位を得て華やぐクリスマスマーケットですが、存続すら危ぶまれる時期がありました。それは第二次世界大戦下のこと。
ナチス政権が最初の大会を開催した都市であるニュルンベルクは、連合国による空爆の優先目標とされドイツの中でも特に壊滅的な被害に遭いました。
瓦礫の山と化した街からはクリスマスの灯りは消え子供たちの聖歌も途絶えました。
戦後、かつての美しい街を再建しようという復興への想いが高まる中、クリスマスマーケットも完全に破壊された旧市街で立ち上がりました。1948年のことです。
以来、このマーケットは人々の希望の証として現在まで引き継がれています。
祈りにも似た願いが込められているからこそ、その一つ一つの灯りがより美しく感じられるのかもしれませんね。
クリスマスの天使が舞い降りる
ブロンドの巻き毛に黄金の冠を戴き、輝く衣装を纏った女性が登場する。これを目にした人は誰もが「天使が舞い降りた!」と思う事でしょう。
彼女はこのマーケットの象徴であるクリスマスの天使です。Christkind(クリストキント)とは、幼少期のキリストを意味しますが、実際は若い女性の姿で表現されています。
クリストキントの開会宣言と共に待ちに待ったクリスマスマーケットが幕を開けるのです。
開会式は初日の金曜日17:30に開催されます。天使の降臨を一目見ようと大勢の人々が押し寄せ熱気は最高潮に。
クリストキントはニュルンベルク在住の16~19歳の女性から2年に1度選出され、地元っ子の憧れの的。開期中はマーケットへ定期的に脚を運ぶほか、幼稚園や障害者施設などへの訪問を行います。チャンスは少ないですが、運が良ければ会えるかもしれません。
ニュルンベルクのクリスマスマーケット会場紹介
会場は大きく分けると4カ所。地図上①中央広場のメイン会場、②姉妹都市マーケット、③子供マーケット、⑥地元オリジナルのマーケットになります。
これだけではありません。中央広場へと向かう道すがらにもソーセージや雑貨の露店がたくさん立ち並んでいます。それらを覗いたりつまみ食いしながらメイン会場へと歩を進めるワクワク感はたまりません。
中央広場のメイン会場(christkindlesmarkt)
開会式が行われるメイン会場です。
ひしめく屋台。溢れる人の波!子供が迷子にならないよう要注意!!いえ、子供だけでなく大人でもです。とにかく来場者で溢れかえっています。
紅白ストライプの屋根の下には、この会場だけでも160もの屋台があるんですよ。
夜の美しさはまた格別です。美しの泉の塔とファサードの美しいフラウエン教会が織りなす光景には、ため息が出るばかり。夢の世界へと誘う雰囲気ばっちりです!
子供が存分に楽しめる!子供マーケット(Kinderweihnacht)
子供が楽しむための特別会場では、大きなサンタクロース人形が出迎えてくれ、まずはそれと記念撮影。一歩足を踏み入れると、香ばしく炒ったアーモンドやクレープの甘い香りが漂います。
メリーゴーランドやミニトレイン、ミニ観覧車などの乗り物のほか、動く電車のジオラマなどもあり、子供を惹きつけて離しません。
こちらの会場もとにかく混雑していますので時間に余裕を持つといいでしょう。また、乗り物にはチケットが必要です。事前に会場の端にある会計所(Kasse)で必要分のチケットを購入しましょう。
子供マーケットは他地域ではあまり見られない工夫が凝らされています。
材料費分を購入するという形でワークショップを受けることもできます。2019年はグラスにエッチング加工をする体験や、サンタクロースのお手伝いをする小人(Wichtel)を製作するコーナーがありました。これは小学校高学年くらいのお子さんでも楽しめそうですね。
姉妹都市マーケット(Markt der Partnerstädte)
ニュルンベルクと姉妹都市関係にある世界の国々が参加し、クリスマスマーケットに国際的な色を添えるマーケットです。2019年は23もの屋台が並びました!
ギリシャの蜂蜜、ニカラグアのコーヒー、中国の真珠やシルク製品、ウクライナの木製品など、物珍しさに興味は尽きません。
地元オリジナルのマーケット(Original Regional)
ニュルンベルクのクリスマスマーケットの独自性を高めているのがこのマーケットと言えます。
こだわりは、周辺地域で生産されたものに特化しているということ。それは例えば地元の果樹園から採れた果物で作られた高級ブランデーだったり、地元の工房で生まれた石鹸や蜜蝋製品だったり。周辺地域の特産品や手工芸品を見ることができます。
せっかくこの地を訪れるのなら、そこならではを感じたいですよね。いろいろ試してみて、地域の多様性からインスピレーションを受けましょう!
職人技の光る雑貨・オリジナルのお土産を見つけよう
可愛いクリスマスの装飾品、ニュルンベルクならではのモチーフ小物、お手頃価格でお土産にもなりそうなオーナメントなど種類の豊富さには事欠きません!
雑貨好きの筆者が片っ端から見ていたらあまりの魅力にめまいがしそうでした。是非お気に入りの一品を見つけてくださいね。
天使グッズ
天使がクリスマスマーケットのシンボルとなっているだけあって、天使のオーナメントを多く見かけました。こちらは紙製のクリストキント。他にも陶器やガラス、木製のものまで素材もデザインも様々なものがありましたよ。紙製天使は43.5ユーロ(約5200円)とかなり値が張りますが、陶器やガラス製の天使は3ユーロ~(約360円)ありました。ニュルンベルクならではの記念品になりそうですね。
手を合わせて身体を傾けている様子が愛らしい天使は、なんと藁でできています。
実はドイツには麦藁でクリスマスのオーナメントを作る文化があります。馬小屋で生まれたキリストが麦藁の敷かれた飼い葉桶の中で眠っていたこととつながりがあるとか。
伝統的な物はストロースターと呼ばれ茎の部分を利用した、かっちりとした形状の物。写真のはそこからアレンジして繊細に作ったものなのでしょうか。ムムム、これは可愛らしい…。しかも2.5ユーロ(約300円)とお買い得価格。
写真左の星は薄い木材を紙のように丸めて細工した飾り。中央の円に天使が配されているものもあり、これも本当に素敵でした。価格は8ユーロ(約960円)程度。目移りしてしまいます!
いたるところにクリストキントが!スタンプにも発見しちゃいましたよ。
他にもポストカードなどがありました。
木工芸品
くるみ割り人形、クリスマスピラミッド、窓辺を飾る半形型のシュヴィップボーゲン。ドイツ人が愛してやまない、クリスマスの伝統木工芸品が一堂に会します!
これらはチェコとの国境に近いエルツ山地が主産地。その本物を見ることができるなんて、それだけでワクワクしませんか?
大きさやデザインにもよりますが、予算としては30ユーロ(約3600円)はみておくといいでしょう。
煙出し人形も欠かせませんね。愛嬌のある顔がたまりません。
職人育成に努めている国だけあって品質も高く、さすがドイツ!と、唸らせるものばかり。こちらは小さい物なら15ユーロ(約1800円)程度。
こちらはニュルンベルクにほど近い街の工房で手作りされた木のお城。
実はニュルンベルクは「おもちゃ」にゆかりのある街なんです。遡ること15世紀、優れた手工芸者がこの街に集まるようになり、16世紀には木製のおもちゃが盛んに作られました。そうして今でも周辺地域に工房を構えて活動を続ける木工芸職人さんたちがおり、このマーケットで作品を見ることが出来るのです。
私は今回この世界観のあるお城に一目惚れ!これとトナカイの置物を購入しました。お城は一番小さいサイズで6.5ユーロ(約780円)。他にはないデザインなのでお部屋に個性的なコーナーが出来て本当に気に入っています。
プラム人形
これぞニュルンベルクならではの雑貨。顔は胡桃、体はドライフルーツからなるZwetschgemännle(ツベチュゲンメンレ)と呼ばれるプラム人形です。一風変わった自分へのお土産にと昔購入したことがあるのですが、意外と長く保つものですね。5年以上飾っていたような気がします。きちんと保管すればもっと長く楽しめたのかもしれません。
手に持つアイテムも顔の表情も一つ一つ違うのでお気に入りの人形を探してみてくださいね。
ドイツでは四葉のクローバー、キノコ、豚、テントウ虫、馬の蹄鉄、そして煙突掃除人が幸運のアイテムとされています。そのモチーフの小物を新年に飾ったりちょっとしたプレゼントとして贈る習慣があるのですが、それらを全部詰め込んだ欲張り人形もいましたよ。
写真のものは12.5ユーロ(約1500円)、小さいものだと4.5ユーロ(約540円)で手に入ります。
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ニュルンベルクならではの食べ物に舌鼓
何といってもニュルンベルガーソーセージ!
ソーセージ王国のドイツにこのソーセージあり!これを食さずして帰るは、仁和寺にある法師、山までは見ずして帰りにけり、ですよ!ニュルンベルクの食べ物で絶対に外せないのがニュルンベルガーソーセージです。
長年ドイツに住んで何度も食べてきた筆者ですが、やはり本場で食べると美味しさ倍増。香草の香りと肉汁がジュワッと。それをギュッと包み込んだパンごと大胆にガブリ!
お祭りの醍醐味は人目を気にせず食べ歩くことでもありますよね。3本入り3ユーロ(約360円)程度でこの味をいただけるなら嬉しいもの。是非熱々を頬張ってみてください。
もっとたくさん食べたい人はレストランへいくのもいいでしょう。炭火焼のソーセージは香ばしさも引き立ちます。マーケット会場近くに有名店がありますが非常に混みあいますので時間配分に気を付けて。
クリスマスに欠かせない焼き菓子・レープクーヘン
レープクーヘンはハチミツや香辛料、ナッツ類からなるクリスマスのお菓子です。長い歴史の中で形や呼称も様々な種類がありますが、ニュルンベルクのものは世界的にも有名。その名店がここに本店を構えるLebkuchen Schmidt(レープクーヘン シュミット)社。
食べ慣れない食感と強い香辛料で苦手な日本人も多いのですが、是非トライしてみましょう!Schmidt社をはじめいくつかのメーカーが屋台を出しています。
ドイツではレープクーヘンは最低限の品質が法律で定められています。その中でも用いる素材の種類や占める割合が基準を満たした高品質なものだけがElisen(エリーゼン)と名乗ることを許されているそうです。アーモンドで飾り付けられているのもニュルンベルクの特徴です。
こちらの直径10㎝程度のお煎餅型は1つ2.2ユーロ(約260円)と、お試しで食べてみるのにいい感じ。私もエリーゼンならば美味しくいただけました。
果物ぎっしり!フルーツパン
一見、謎の塊…インパクトのあるこの食べ物の正体は、ドライフルーツをふんだんに用いたフルーツパンです。果物の細かい粒がぎっしり詰まっていてどっしりとした食感。お腹持ちも良く、これがまた美味しいのです。お試し用に薄くスライスしたものもありましたし、日持ちもするのでお土産にするのもいいですね。パウンドケーキ型の大きなもので9ユーロ(約1000円)。
地元のホットワインでぽかぽかに
ドイツと言えばビールのイメージが強いかもしれませんが、寒い夜に身体を温めてくれるホットワインがマーケットの定番です。
Glühwein(グリューワイン)と呼ばれ、赤ワインのベースに香辛料やお砂糖を混ぜて温めた、クリスマス時期限定のもの。お酒の弱い筆者は半分程でポッカポカ&陽気になってしまいました。ニュルンベルク産のものを是非お試しください!
ホットワインは3~4ユーロ(約360~480円)。陶器のカップにはデポジット3ユーロ程がかかります。カップを返却すればお金も戻りますが、開催都市の名前入りなので記念に持ち帰ることも可。カップのデザインはニュルンベルクだけでも数種類ありましたよ。私も各地を巡って集めたカップを普段使いしています。
ニュルンベルクのクリスマスマーケットをより楽しむために
郵便馬車観光で街の雰囲気を味わう
中世の雰囲気にぴったりな郵便馬車で市内観光はいかがでしょうか。
旧市街をぐるっとめぐる所要時間は10~15分と短時間でお手頃価格なのも気軽に利用できて嬉しいですね。
料金(2019年):大人4ユーロ、12歳までの子供2.5ユーロ
乗り場:メイン会場端の「美しの泉」近く
明るいうちに市内観光を
旧市街には、写真のカイザーブルクや画家デューラーの家など見所がたくさんあります。ライトアップされた佇まいも美しいですが、中世の雰囲気を感じ姿をしっかり写真に収めるのであれば観光は昼間のうちに済ませておくのがおすすめです。この時期は午後4時半には暗くなります。夜はマーケット見学に集中して楽しみましょう。
防寒対策、スリに注意
会期後半や週末、夜にかけては混雑さも増します。ベビーカーを押しながらの見学は安全のためにもできるだけ早い時間帯が良いでしょう。
せっかくの思い出が台無しにならないよう防犯対策もお忘れなく。お財布を人に見せないよう、必要な現金だけをズボンの前ポケットに入れるなど、スリにも気を付けてください。
また、防寒対策も十分にすることをおすすめします。この時期は雨も多いのですが、これだけ人が集まると傘を差すのが難しい場合もあります。帽子も携帯すると良いでしょう。
クリスマスマーケット開催情報
クリスマスマーケットはアドベント(クリスマス前の4週間)の期間中に開催されるのが一般的です。つまり、日本の学校や仕事が冬休みに入るころには終了しています。各地によって開催期間にはばらつきがあり、中にはクリスマス後も開催している都市もありますが、旅行計画は開催期間をよくご確認ください。
■2020年 ニュルンベルクChristkindlesmarkt開催日程■
2020年11月27日~12月24日
会期終了後まもなく翌年の日程が発表されます。公式ホームページにてご確認ください。
Nuremberg Christmas Market - christkindlesmarkt.de
公式ホームページ
www.christkindlesmarkt.de
日本からのアクセス
三大クリスマスマーケットの他2都市と比較しても、アクセスしやすい立地と言えます。
■日本→ミュンヘン、ミュンヘンからDB(ドイツ鉄道)利用→ニュルンベルク ICEで約1時間10分
■日本→フランクフルト、フランクフルトからDB利用→ニュルンベルク ICEで約2時間
いつか訪れてみたい…を現実にしよう
私がカルチャーショックを受けたように、ドイツ人のクリスマスに対する想いは並々ならぬものがあります。その圧倒的な本物感を見せつけてくれるのがニュルンベルクです。
皆さんもぼんやりと描く憧れを実現しに来てみませんか?クリスマスマーケットでお待ちしています!
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