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オランダはクリスマスが2回ある⁉在住者がシンタクラース祭とクリスマスマーケットをご紹介!
ヨーロッパの冬といえばクリスマスですが、オランダにはもう一つのお祭り・「シンタクラース祭」があります!「シンタクラース」は、サンタの原型と言われていますが、私たちの知るサンタさんとは全く異なる聖人です。今回はシンタクラースについて解説と、オランダのクリスマスイベント情報をお届けします!
この記事に登場する専門家
オランダ在住イラストレーター
猫子
オランダには「シンタクラース祭」と「クリスマス」、2つのイベントがある
こんにちは!オランダ在住イラストレーターの猫子です!
今回はオランダのクリスマスについて紹介します!
オランダの12月は、2回も聖人の日をお祝いするイベントがあります。
シンタクラースの日(12月6日)とイエス・キリストの誕生日(12月25日)です。
シンタクラース祭は11月中旬から始まり、そこからクリスマスまでイベントが目白押しなので、合計1ヵ月以上もオランダはお祭りムードに包まれます!
今回はそんなオランダの楽しい冬の文化についてお届けします!
シンタクラースって誰?仲間たちはどんな人?
シンタクラース祭は、700年以上の伝統のある、オランダのカトリックの祭典です。
途中、宗教改革などで禁じられた時期がありながらも、19世紀には世俗化し、ベルギー・ルクセンブルグ・フランスの一部にも広まりました。
一方で17世紀にオランダ人がマンハッタン島に入植した際に、イギリス人がオランダのシンタクラースの伝承を新大陸に広め、それが形を変えてサンタクロースの伝説になりました。
シンタクラース(聖ニコラス卿)【Sinterklaas / Sint-Nicolaas】
シンタクラースの本名は聖ニコラス卿。
4世紀のミラ(現トルコ)のニコラウス司祭が起源とされる、神話的な人物です。
お墓が旧スペイン領にあることから、スペインから蒸気船でやってくるとされています。
赤い冠に白いひげ、司祭服に金色の杖がトレードマークです。
「シンタクラースの書」と呼ばれる本には、子供たちが過去1年間良い子にしていたかが記録されています。
サンタクロースは陽気でフレンドリーなイメージですが、シンタクラースは高貴で厳かなイメージです。
白馬のアメリゴ【Amerigo】
シンタクラースは白馬のアメリゴに乗ってオランダ中を旅します。
11月中旬〜12月5日にかけて、学校・病院・ショッピングセンターなど様々な場所で、シンタクラース関連のイベントが行われます。
さすがに馬の数が足りないのか、イベントによってはアメリゴがポニーだったり黒馬だったりするときもあります。笑
お供のズワルト・ピート【Zwarte Piet】
シンタクラースの侍従で、カラフルな貴族服を着ているズワルト・ピート。
"Zwart"は黒を意味するオランダ語です。
アフロヘアーに黒い肌、赤いリップがトレードマークです。
良い子にあげるお菓子が入った大きな袋と、悪い子を懲らしめるための煙突ブラシを持っています。
お菓子をくれたり、楽器を演奏したりと、陽気で人気者のピート達ですが、悪い子を見つけると袋に詰めてスペインに連れて行ってしまうのだそうです。
実はピートのキャラクターについては、「人種差別では?」と毎年議論が行われています。
伝統的にピートは「スペインのムーア人なので肌が黒い」とされていましたが、近年は「蒸気船や煙突のススがついて黒い」という説明の方が好まれているそうで、顔のペイントもススっぽいムラ塗りにされることが増えて来たようです。
オランダ人の90%以上は「ピートの外見に差別の意図はなく、ましてや奴隷制度とは関係ない」と考え、変更には反対のようですが、過激なデモも行われている難しい問題です。
ピートの仮装をする際は、一目でススとわかるようなムラ塗りにするのが無難でしょう。
シンタクラースがオランダに来るのは11月の中旬!
シンタクラースは11月11日の後の最初の土曜日に、蒸気船で到着します。
この到着のお祭りは "Intocht" (イントクト) と呼ばれ、国営テレビで生中継されます。毎年上陸する港は変わります。
2019年は11月16日、Apeldoorn(アーペルドールン)の街が国を代表する到着地に指定されています。
ちなみにアーペルドールンには港がないので、今年は蒸気船でなく蒸気機関車で到着するそうです。柔軟ですね。笑
Apeldoornの到着イベントの詳細については下記サイトをご参照ください。
【→Everything about the National Sinterklaas Entry 2019 in Apeldoorn】
シンタクラースが到着した後は、各地でイベントが開催されます。
学校や病院、ショッピングモールなど、オランダのいたるところに白馬に乗ったシンタクラースがやってきます!
シンタクラース祭が最も盛り上がるのは12月5日!
シンタクラース祭が最も盛り上がるのは聖ニコラスの日のイヴの12月5日です。
12月5日は"Pakjesavond" (パッケスアヴォンド = プレゼントの夜)と呼ばれ、パーティーを行います。
大人たちがプレゼント交換をする際は、詩を添えるのが伝統です。ウィットに富んだ詩を読んで、誰あてのプレゼントなのかを当てるのが楽しみ方だそうです。
子供のプレゼントは靴の中に
シンタクラースが到着すると、子供達は毎晩寝る前に、靴の中にシンタクラースへの手紙やアメリゴのための人参を入れて、暖炉の前か家の外に出しておきます。
すると翌朝には、靴の中身はお菓子やミニプレゼントに変わっています。それを3週間繰り返し、12月6日の朝には特別なプレゼントが入っているのです!
この時期は、スーパーやおもちゃ屋でも靴のイベントが行われます。
イベントに参加すると、12月6日以降にプチギフトがもらえます。
こちらはスーパーマーケット"Lidl"でのブーツ工作イベント。
プチギフトはカードゲーム「カルテット」のシンタクラースバージョンでした!
シンタクラースに関係するオランダの食べ物
Letter Chocolade (レターショコラード)
アルファベットを形どったチョレート。
シンタクラースからの典型的な贈り物とされる。
Pepernoten / Kruidnoten (ペパーノートン / クラウドノートン)
ズワルト・ピートがくれる、スパイスが効いた小さくて丸いクッキー。
食感は蕎麦ぼうろに似ていて、サクサクで美味しい。
チョココーティングなど、色々なバージョンが売られている。
Speculaas (スペキュラース)
伝統的なスパイスの効いたクッキー。
日本でも人気のベルギーのクッキー・Lotusもスペキュラースの一種。
冬はシンタクラースバージョンが現れる。
Taai taai (ターイターイ)
アニスというスパイスで香りづけられたクッキー。
"taai" は英語に訳すと"tough"。「固い固い」の名の通り噛み応えがある食感。
Marsepein (マジパン)
こちらもオランダの伝統菓子。カラフルで子供に人気。
味は…うーん…マジパン…。
Chocolade melk (ショコラード・メルク)
オランダの国民的ドリンク・ホットチョコレート。
甘いココアに生クリーム。温まる。
シンタクラースの歌をオランダ語で歌おう!
到着〜聖ニコラスの日までの3週間、人々はシンタクラースの歌を歌ってお祝いします。
イベントでピートが演奏してくれたり、お店で流れたりと、耳にする機会が多いので、是非覚えてみてはいかがでしょうか?オランダ語の練習にもなりますよ!
Sinterklaas kapoentje(シンタクラース・カプンチェ)
一番簡単で覚えやすい歌です。
「聖なるシンタクラースさん、靴に何か入れてね、ブーツに何か入れてね、ありがとう、シンタクラースさん♪」というかわいい歌です。
O kom er eens kijken (わー、来て見て!)
賛美歌のような美しいメロディーの歌です。
「わー、来て見て、靴に何か入ってる。全部シンタさんからだ!(以下、プレゼントの説明〜〜)」という歌詞です。
お人形、スカート、ブロックなどの子育て中の方には頻出のオランダ単語が覚えられます♪
Zie ginds komt de stoomboot(あそこに蒸気船がやってきたよ)
スペインから蒸気船が到着し、ピート達とやってくる様子を歌った曲です。
少し歌詞が難しいですが、人称代名詞がたくさん出てくるので、オランダ語初心者には勉強になります。
シンタクラース祭が終わると、一気にクリスマス!
12月6日までのシンタクラースフィーバーが終わると、街はガラッとクリスマスに変わります!
クリスマスツリーにイルミネーション、オリボーレンの屋台にスケート場が出現し、クリスマス・マーケットが開催されます!
お祭りが終わってもまたすぐにお祭りがやってくる。オランダの冬は2度楽しいのです。
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オランダ各地のクリスマスイベント
オランダのクリスマスマーケットはドイツほど有名ではありませんが、規模が小さいながらも魅力的なイベントがたくさんあります。
ドルドレヒト(Dordrecht)のクリスマスマーケット
「オランダのヴェニス」と呼ばれるドルドレヒトで行われる、オランダ最大のクリスマスマーケット。
13世紀の荘厳なゴシック様式の教会と運河の美しい街並みの中で行われます。
開催日が3日間と短いので要チェックです。2019年は12月13〜15日です。
ファルケンブルグ(Valkenburg)のクリスマスシティ
オランダ南部のファルケンブルグには、とてもユニークなイベントがあります!
なんと地下の洞窟の中でクリスマスマーケットが行われるのです。
かつて石の採掘場として使われていた長い洞窟でクリスマスのお祭り。神秘的でわくわくしますね!
洞窟ツアーの他にも、サンタの村やおとぎの森なども開催されます。
とても人気のスポットなので、9月には近くの宿の予約が埋まってしまうそうですが、期間は1ヵ月半と長めです。2019年は11月5日〜1月5日。(但し洞窟ツアーには期間があるので要チェック。)
デーフェンター(Deventer)のディケンズ・フェスティバル
オランダ中部の小さな町・デーフェンターでは、12月に2日間、19世紀の英国人作家チャールズ・ディケンズのお祭りが開催されます。
この期間は住民総出でヴィクトリア時代の生活を再現し、ディケンズの代表作「クリスマス・キャロル」の世界にタイムスリップしたかのような感覚が味わえるそうです。
さらに近くのGrotekerkでもクリスマスマーケットが開催されています。
お祭りは大変人気で、小さい街に2日間で16万人もの人が訪れるのだとか!
2019年の開催日は12月14日・15日です。
マジカル・マーストリヒト(Maastricht)
オランダ南部・マーストリヒトでもオランダ最大級のクリスマスマーケットが行われます。
中央広場は魔法をかけられたようにイルミネーションに包まれ、屋台だけでなく観覧車やメリーゴーランドなどのライドや、アイススケートリンクが現れます!
人気の観光スポット・世界で最も美しい本屋もクリスマス色に染まります。
開催期間は長く、丸1ヵ月行われます。
2019年は11月29日〜12月31日までです。
こちらは先ほどの洞窟マーケット・ファルケンブルグとも近いので、合わせて日程を組むのも良いですね。その際はマーストリヒトに宿を取るのがオススメです。
ハーレム(Haarlem)のクリスマスマーケット
アムステルダム近郊にあり、スキポール空港らアクセスしやすいのがハールレムのクリスマスマーケット。
規模は他と比べるとコンパクトですが、質の高い工芸品や食べ物が集まります。
2019年は12月7日・8日の開催です。
フローニンゲン(Groningen)の冬祭り
オランダ北部のフローニンゲンでは、小規模ながらも一味違ったクリスマスマーケットが行われます。
通常の屋台に加え、運河上に15隻の船がお店としてオープンするのです!
この街でしか味わえない、幻想的なクリスマスの景色に出会えます。
2019年の開催日は12月20〜22日です。
ライデン(Leiden)のクリスマスマーケット
ライデンのクリスマスマーケットは運河に浮かぶユニークなレイアウトになっています。
水上に一時的な足場が作成され、そこにマーケットやスケートリンクが現れるのです。
また、期間中には運河ツアーが催行されます。通常、運河ツアーは冬はお休みなので、クリスマスシーズンに体験できることは珍しく、とても人気です。
2019年は12月13日〜24日の開催です。
シンタクラース vs サンタクロース。オランダの子供はどちらにプレゼントを貰うのか?
2回あるオランダの聖なる日。
家庭では、どちらをメインでお祝いしているのでしょう?
徐々にクリスマスにシフトしつつありますが、オランダ家庭の60%は、シンタクラースの日にプレゼントをあげる派のようです。特に子供が小さいうちはシンタクラースのお祝いに比重が置かれるようです。
インターナショナルな家庭では、2回ともお祝いするお家が多いようです。うちの子の学校の子達もその派閥が多いので、子供達は2回プレゼントがもらえることを期待しています…(^^;)
オランダにはシンタクラースとサンタクロース、2人の聖人がいた
シンタクラースとサンタクロースの違い、いかがでしたか?
オランダの冬にはシンタクラース祭とクリスマス、2回も楽しいイベントがあります。
ぜひぜひお祭りのシーズンに遊びに来てくださいね!
猫子のブログはこちら
この記事を書いた猫子のブログはこちらです。
オランダでの日常や、育児のことを絵日記で綴っています。今回の記事に関連する日記もあるので、ぜひぜひ覗きに来てくださいね〜!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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