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フィレンツェ30種の郷土料理と在住者厳選のレストランを紹介!ウサギやイノシシ料理も美味しい?
鶏のトサカや脳みそもすべて食べきる!というフィレンツェの人々の安い食材を使った節約術と情熱は、彼らの生活スタイルに共通するものがある気がします。こんなものまで食べちゃうの?とビックリしますよ。おしゃれなレストラン・おすすめのグルメスポットを紹介します!
この記事に登場する専門家
イタリア在住ライター
Edicolante
フィレンツェ料理の有名基本食材と特産物はなに?
こんにちは。イタリア在住20年のEdicolanteです。
フィレンツェにも4年近く住んでいました。
今回は私の知っているフィレンツェ郷土料理と、フィレンツェで使われる食材などを経験談も織り交ぜてご紹介したいと思います。
トスカーナ料理にも色々ありますが、全てをご紹介するととても長くなりますので、フィレンツェで特に食べられている郷土料理に絞りたいと思います。
食いしん坊根性だけで書いていますので、今流行のグルメなお洒落過ぎるお店ではなく、伝統のフィレンツェ料理と老舗店だけを厳選しました。
トスカーナ料理の基本食材!パンとオリーブオイル
トスカーナ家庭料理は、食材も調理法もシンプルでボリュームがあります。
有名フィレンツェ郷土料理は安い食材を無駄なく、美味しくいただくことで広まったと考えられます。
★ パーネ・ショッコ(Pane sciocco)と呼ばれるパンは塩なし
まわりはカリカリによく焼かれ中はとても軽く、そのまま食べる以外に様々な料理に使われます。
★ エクストラ・ヴァージン・オリーブ・オイル
揚げ物やグリルに欠かせません。
これらの食材に、チーズ、肉、野菜、豆など、周辺地域の食材を使います。
上の写真はアーティチョーク、オリーブ、レバーのパテをパンにのせて食べます。
パンは余っても数日くらいは全然平気で、硬くなってもスープなどに入れてしまう名物料理があります。
トスカーナ人の自慢の食材!キアニーナとチンタ・セネーゼ
フィレンツェは地中海性気候で、水が豊富です。
栗と黒トリュフで有名なムジェッロ地方、ヴァルダルノは白トリュフ、エンポリはアスパラガスなどの野菜がおいしく、アペニン山脈の広い森ではキノコ、野ウサギや野鳥、イノシシ料理が名物です。
しかし、フィレンツェは海に面してないので海の幸の名物料理は少ないです。
今でこそ交通の便が発達し新鮮な魚も手に入るようになりましたが、それまではスモークサーモンや塩漬けのタラ、オリーブオイル漬けのツナのように日持ちするものだけだったのです。
トスカーナ名物肉料理で、キアーナの谷(Val di Chiana)は上の真っ白な牛、キアニーナ牛が有名です。
上の写真はチンタ・セネーゼと呼ばれる種類の黒豚で、前足から背中にかけて白いラインが入っているのが特徴です。Tシャツを着てるようで可愛いですよね。
シエナの町周辺で飼育され、生産量が少ないので高級です。
肉や野菜の名物煮込み料理も、職人さんが使う窯の余熱で調理していたことで生まれたと言われています。
フィレンツェ郷土料理にはどんなのがあるの?
それでは、前菜からデザートまでコースとして食べる順に、フィレンツェ料理にはどうゆうものがあるか見て行きましょう。
先ずは前菜から【アンティパスト】Antipasto
①前菜の盛り合わせ【アッフェッターティ】Affettati
先ず始めにトスカーナの美味しいサラミとチーズの盛り合わせを注文するのがおすすめです。
サラーメ・トスカーノ、フィノッキオーナ、プロシュット・トスカーノ、ラードやイノシシのサラミなどと、リコッタやペコリーノ・トスカーノなどのチーズにオリーブが盛り付けられて出てきます。
パンの上にのせたり、オリーブオイルをかけたり、様々な楽しみ方ができます。
チーズに蜂蜜やジャムをつける食べ方は通ですね。
赤ワインと一緒に楽しみましょう。
ワインは軽くて若い、コッリ・フィオレンティーニがよく合います。
その後の料理がお腹いっぱいになって食べられなくならないように調節を。
②レバーのパテ【クロスティーニ・ディ・フェーガト】Crostini di fegato
フィレンツェの塩なしパンに、ウサギや鶏のレバーで作られたパテを塗って出されます。
ケッパー、イワシの塩漬け、セージとバターが主な材料です。
③パンとオリーブオイルで【フェットゥンタ】Fettunta
オリーブ収穫時期の搾りたてオイルが手に入る、11月に特に食べられます。
もちろん年中食べられるんですが、もぎたての独特な刺すような青い味わいはこの時だけ楽しめます。
夏はトマトのブルスケッタに、冬は熱々スープと一緒にフェットゥンタを楽しむのが伝統です。
濃い緑色ですね!筆者は語学学校の校外学習でキアンティ地方へ行き、初めてフェットゥンタを食べて、食のカルチャーショックを受けました。
④パン入りサラダ【パンツァネッラ】Panzanella
二日くらい経ち古くなったパンを水に浸して柔らかくして、新鮮野菜とワインビネガーを混ぜたサラダで、夏に最適です。
上の写真は筆者が真似して調理したものですが、今まで食べたものはバジリコとキュウリ、生の紫玉ねぎ味が印象的でした。何を入れるかは好みで変えられると思います。
⑤野菜スティック【ピンツィモーニオ】Pinzimonio
季節の野菜を使った野菜スティックを、塩コショウされたトスカーナのオリーブオイルの味と共に楽しみます。
料理とは言えないほどシンプルなものですが、美味しいイタリアの野菜を味わう一番良い方法なのです。
現地で食べて帰りましょう。
⑥ツナと豆のサラダ【トンノ・エ・ファジョーリ】Tonno e fagioli
塩茹でした豆に、ツナとニンニクとセージとオリーブオイル、紫玉ねぎを混ぜたもので、栄養満点です。
⑦そら豆とペコリーノ・チーズ【バッチェッリ・エ・ペコリーノ】Baccelli e pecorino
春のピクニックのランチに、旬のそら豆とチーズをオリーブオイルで和えた料理を持って行ったりします。
パスタやスープ【プリーモ】Primo
⑧古いパンを使うトマトスープ【パッパ・アル・ポモドーロ】Pappa al Pomodoro
家庭に常備されているトマトソースと、二日ほど経った古く硬いパンを再調理する経済的な料理。フィレンツェ人のソウルフードだと言えます。
⑨古いパンと野菜のスープ【リボッリータ】Ribollita
前日か、もっと前に余った古いパンが使われるトスカーナ全土で食べられる野菜のスープです。
この名前がついてるのは、2度も茹でるためです。
カーヴォロ・ネーロと呼ばれる特産の葉が黒い苦みがあるキャベツと豆が一緒に煮こまれます。
⑩裸のラビオリ【ラビオリ・ニューディ】Ravioli gnudi
手打ちパスタで作られたリコッタチーズとほうれん草入りのラビオリもよく食べられますが、面白いのがパスタに詰めずに、そのまま茹でられたラヴィオリ・ニューディと呼ばれる料理もあります。
裸のラヴィオリという意味です。
きっと余った中身だけを調理したのが始まりでしょうね。
トマトソースやバターのソースに合います。
⑪フィレンツェ風玉ねぎのスープ【カラバッチャ】Carabaccia
フランチェジーナ(Francesina)という、ブロードを作ったあとの牛肉とスープにトマトソースと玉ねぎを炒めて入れ黒胡椒を効かせたスープもあり、フィレンツェのトーストパンの上に玉ねぎスープとチーズをかけ、オーブンでチーズの表面を焼いたものはカラバッチャ(Carabaccia)と言います。
⑫牛肉のブロード【ブロード・ディ・カルネ】Brodo di carne
レストランや家庭により特徴があり、料理のベースの味になるブロードです。
寒い冬の温まるスープで、小さなパスタを入れたり、詰め物パスタと一緒にいただきます。
卵を入れたフィレンツェ風卵スープ、ストラッチャテッラもありますね!
肉と野菜のブロードを取った後の、食材はレッソ(煮込んだ)と言われ、サルサヴェルデ(パセリとニンニクの緑のソース)をかけていただきます。時には牛タンも入れられます。
⑬野ウサギのパスタ【パッパルデッレ】Pappardelle alle lepre
手打ちパスタのパッパルデッレをウサギのソースで食べます。筆者はウサギはどうしても苦手なので、イノシシのソースのパッパルデッレが好きです。
上の写真は筆者のトスカーナの親戚のクリスマスの手料理、パッパルデッレです。
その他パスタ料理には、フィレンツェ風クレープ(クレスペッレ・アッラ・フィオレンティーナ)スペシャルな日に作られるラザニアなどがあります。
フィレンツェのメイン料理【セコンド】Secondo
⑭フィレンツェ風Tボーンステーキ【ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ】Bistecca alla fiorentina
フィレンツェでビーフステーキと言えば、骨付き炭火焼きになります。
生後16から18か月以上で800キロ以上の牛からとれた牛肉を使います。
1枚のステーキは500グラムから1キロの、5センチくらいの高さがある分厚いステーキを注文しましょう。
⑮フィレンツェ風モツ料理【トリッパ・アッラ・フィオレンティーナ】Trippa alla fiorentina
トリッパは牛の胃袋、フィレンツェ風モツ料理です。
独特な臭みがあるので、香辛料を効かせ、セロリとトマトとパルミジャーノチーズを入れ、煮込まれます。食べるときに、緑のニンニクの効いたパセリソースをお好みでかけます。
茹でた豆やピューレにしたジャガイモとよく合います。
⑯黒コショウをこれでもか!と効かせた牛肉料理【ペポーゾ】Peposo
フィレンツェ郊外のインプルネータという村発祥の肉料理で、胡椒がかなり効いてます。赤ワインに合いますね!
⑰イノシシや牛の赤ワイン煮込み【ストラコット】
ストラコットはスッゴク煮込む!という意味の名前通り、長時間、牛肉や猪肉がほろほろに柔らかくなるまで煮込むのです。
上の写真は黒オリーブとポレンタ添えです。
⑱豚肉料理【アリスタ】Arista
フィレンツェでは豚肉料理の鍋で煮込んだアリスタや、炭火焼きステーキ、イタリアンソーセージのサルシッチャなどがあり、他の肉料理は鶏肉も美味しいです。
⑲ヤリイカと野菜の【カラマーリ・イン・ツィミーノ】Calamari in zimino
ヤリイカと野菜を煮込んだカラマーリ・イン・ツィミーノは、数少ないフィレンツェで食べられる海の幸です。
⑳フィレンツェの豆料理【ファジョーリ・ア・ウッチェッレッタ】
オリーブオイルとセージの葉で煮込んだ豆料理です。
メイン料理といっしょに食べる付け合わせ料理にも良いですね。
余ったものは翌日パスタを混ぜて量を増やしてまた食べるパスタ・エ・ファジョーリというのもあるのです。
フィレンツェのデザート【ドルチェ】Dolce
㉑クッキーをお酒に浸す【ビスコッティ・ディ・プラート】とヴィン・サント(Pomino) (カントゥッチ)
フィレンツェや郊外のプラートという町のアーモンド入り手作りクッキーです。かなり硬いので、ヴィンサントと呼ばれる甘いお酒に浸して少し柔らかくして食べます。
㉒ジェラート屋さんでセミフレッドのケーキ【ズッコット】Zuccotto
16世紀にメディチ家のために作られたのが始まりだと言われています。
小さなカボチャという意味の名前でドーム型のケーキです。
セミフレッドなので、ジェラート屋さんのウィンドウにも並んでいます。
フィレンツェはジェラート屋さんも美味しいところが多いです。
フィレンツェにはこれらのデザートの他に、ボンゴと呼ばれるミニシュークリームのチョコレートかけや、栗のケーキのカスタニャッチョ、葡萄のスキアッチャータなど季節のデザートもあります。
フィレンツェのレストランではイタリア全土で食べられる料理も出されますし、またフィレンツェ料理はイタリア中で、いや世界中で愛されていますね。
安く美味しく♪フィレンツェのストリートフード【ランプレドットのパニーノ】Lampredotto
ランプレドットは、牛の第4番目の胃袋です。
パンに挟んでパニーノにしてもらい、ランチを簡単に済ませて観光するのもいいですね!
ニンニクの効いた緑の野菜ソースをかけてもらってください。
他にフィレンツェの揚げ物屋には、コッコリ(Coccoli)という揚げパンや、野菜のフライ、ハムとチーズをパンで挟んで揚げたフィカットラ(Ficattola)などがあります。
フィレンツェ郷土料理が食べれるおすすめの安いレストラン
【オステリーア・チンギアーレ・ビアンコ】Osteria Cinghiale Bianco
【トラットリーア・ザザ】Trattoria Zà Zà
フィレンツェでは鶏のトサカや脳みそまで食べちゃいます!
フィレンツェにはなんと!チブレオという鶏のトサカの入った料理もあります。
筆者がまだイタリアに来たばかりの時、フィレンツェのスペシャル料理が食べたいと注文をすると、牛の脳みそのフライがお皿いっぱいに出てきました。
脳みそという単語をしらなかったためですが、美味しかったので勇気のある人は脳みそ(イタリア語でチェルヴェッロ)を是非食べてみてください。
筆者が食べたレストラン【トラットリア・カンミッロ】Trattoria Cammillo
フィレンツェ郊外には、他にも雉やツグミの珍しいグリル料理や、前菜からデザートまで牛のモツ料理が出てくるビックリなレストランもあります。
もったいない精神!余すことなく全部使う!フィレンツェの人の生活スタイル!
いかがでしたでしょうか?
余った食材を何でも使い、美味しいものに変えてしまうことで生まれたフィレンツェ料理は、贅沢をせずにあるものに大事に手をかける、フィレンツェ人の生活スタイルだと、今回この記事を書きながら、思いました。
何世紀にもわたって健康食を食べてきた、グルメなフィレンツェの人たちなのです。
トスカーナはなんでもどこへいっても美味しいのです。
肉類など新鮮なものは日本に持ち帰ることはできませんので、是非フィレンツェでご当地グルメを楽しんでください。
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