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スリランカ全域の気候と雨対策を在住者が解説!各地でベストシーズンは異なる?
北緯10度未満に位置するスリランカは、熱帯の島国。一年中暑い国をイメージしますが、低地の暑さの一方、山間部などの高地は気温10度を切ることもあります。 気候の特徴は、雨季と乾季があること。 バリエーションあるスリランカ各地の気候をご紹介します。
この記事に登場する専門家
スリランカ在住WEBライター
たら・みどり
スリランカの気候~概要
こんにちは!スリランカ在住WEBライターたら・みどりです。
インド洋に浮かぶ島国スリランカは、北緯5度55分~北緯9度51の間に位置します。
南国なので「暑い」イメージがありますが、実は気候は地域によってさまざま。
沿岸部はもちろん1日中暑いのですが、少し高地になると、夜間冷え込みます。
また、スリランカの気候の特徴として、時期により「雨季と乾季」に分かれることが挙げられます。観光やマリンスポーツで訪れる際には、気温よりもこの降雨量が重要に!
さらに、スリランカ全土は「湿潤地帯(ウェットゾーン)」と「乾燥地帯(ドライゾーン)」にも分けられます。年間を通して雨が多い地域か少ない地域か、その違いは気温と湿度にも影響し、旅行中の体調にも影響してきます。
これからスリランカを訪問予定の方は、ぜひ事前にチェックして、快適な旅に出かけましょう!
スリランカ各地の気候区分
世界の気候区分では、スリランカはどの気候に属するのでしょうか?
ケッペンの気候区分*1)では、スリランカには4つの気候があり、そのうち3つは熱帯気候です。
注*1)ケッペンの気候区分:
ドイツの気候学者ウラジミール・ペーター・ケッペンによる気候区分で、各地域の植生分布に注目して考案されている。現在、世界の気候区分の主流になっている。
File:Asia Köppen Map.png - Wikimedia Commons
アジアのケッペンの気候区分
commons.wikimedia.org
スリランカの4つの気候
スリランカには、大きく分けて4つの気候があります。
1) 熱帯雨林気候
2) 熱帯モンスーン気候
3) サバナ気候(サバンナ気候)
4) 西岸海洋性気候
これらの気候の特徴と、その地域をご紹介します。
熱帯雨林気候 [熱帯]
世界の気候の中でも最も気温が高く暑い気候が、熱帯雨林気候です。
スリランカでは、コロンボや、南西海岸の町ゴール、ヒッカドゥワなどがこの気候です。
年間を通して雨が多く、また年間の気温差が少ないのが特徴。日中の気温差も少ないので、1年中暑い地域です。
湿度も高く、1日のうちでは、午後からスコールと呼ばれる激しい雨が降ります。
こうした気候のため、数十メートルもあるうっそうとした植物が育ちます。
旅行者にとっては、夜間もあまり気温が下がらないのが悩みの種。熱帯に慣れていない体にとっては、日中暑くてもせめて夜はぐっすり眠りたいもの。夜間も熱帯夜がほとんどなので、暑くて眠れないことも。暑い夜に慣れていない場合は、エアコンつきのお部屋に泊まるのがオススメです。
さらに、年間を通して雨が降りやすいし、いきなりの豪雨なので、常に折りたたみ傘やレインコートが必須です。
スリランカの首都やメイン都市のコロンボがこの気候なので、都市部で働く方々はかなり大変ですね。
Colombo, Western, Sri Lanka Monthly Weather | AccuWeather
今月の月間天気予報 [コロンボ/スリランカ]
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熱帯モンスーン気候 [熱帯]
赤道から北回帰線*2)の間の地域で、モンスーン*3)の影響を受ける地域に、熱帯モンスーン気候は分布しています。
熱帯雨林気候と違い、年間を通して雨季と乾季があることが特徴です。降水量の多い雨季は熱帯雨林気候とほぼ同じお天気です。
スリランカでは、熱帯雨林気候である南西部の北部と東部を取り囲むように、スリランカ中心部まで熱帯モンスーン気候が分布しています。
注*2)北回帰線:
惑星や衛星の、北半球に位置する回帰線。北緯23度26分22秒に位置するが、毎年微妙な誤差がある。
注*3)モンスーン:
季節風。季節によって吹く方角が変わる風。季節によって、一定の方角へよく吹く傾向のある風。
中高地の世界遺産の町キャンディも、この気候になります。キャンディは中高地にあるため、スリランカの中でも割と涼しめの地域で、特に夜間は涼しく、過ごしやすいのです。
Kandy, Central, Sri Lanka Monthly Weather | AccuWeather
今月の月間天気予報 [キャンディ/スリランカ]
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サバナ(サバンナ)気候 [熱帯]
熱帯モンスーン気候よりもさらに、雨季と乾季が明確に分かれているのが特徴です。
サバナ(サバンナ)=「乾燥に強い樹木がまばらに生える草原」という意味で、乾燥した暑い土地の草原にちなんでサバナ気候と呼ばれます。
スリランカでは、仏教遺跡で有名な中央北部のアヌラーダプラが、この気候です。
年間の気温は22度から34度程度。20度以下になることはほとんどないため、とても暑い印象です。
スリランカの文化三角地帯はこの気候にあたるため、多くの遺跡を日中見て回る際、その暑さと日光対策は重要です。観光でぐったり疲れても、夜もあまり涼しくならないため、観光には少し過酷な地域です。
Anuradhapura, North Central, Sri Lanka Monthly Weather | AccuWeather
今月の月間天気予報 [アヌラーダプラ/スリランカ]
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以上の3つの気候が、熱帯に属する気候です。スリランカに存在する唯一の熱帯以外の気候が、次の西岸海洋性気候で、温帯にあたります。
西岸海洋性気候 [温帯]
名称は“西岸海洋性”と、海岸を思わせる気候名ですが、スリランカでは南部寄りの中央の山岳地帯がこの気候になります。温帯の中で湿潤、かつ夏の気温が低いことが特徴です。
有名なお茶の産地ヌワラエリヤや、その周囲の山間部が該当します。
温帯なので、スリランカの他の地域よりずっと気温が低くなります。
ヌワラエリヤでは、最高気温の平均は20~23度、最低気温は9~14度です。
スリランカを周遊旅行していて、うっかり他の地域からヌワラエリヤへ移動してくると、時期によっては急激に寒く感じますし、また夜の冷え込みにびっくりします。手持ちの衣料では足りないほどに寒いことも。
降雨量もそれなりに多いので、寒い気温での雨に濡れると大変です。衣類などの準備をしっかりして訪れたい地域です。
Nuwara Eliya, Central, Sri Lanka Monthly Weather | AccuWeather
今月の月間天気予報 [ヌワラエリヤ/スリランカ]
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スリランカの湿潤地帯と乾燥地帯
スリランカは各地で気候が少しずつ違いますが、大きく分けると、雨の多い“湿潤地帯(ウェットゾーン)”と、雨の少ない“乾燥地帯(ドライゾーン)”に分けられます。
二つの地帯は、その地域が受けるモンスーンの違いによって分けられます。
スリランカに吹く2つのモンスーン
スリランカの降雨量に影響するモンスーンには、赤道付近から吹く南西モンスーンと、ベンガル湾から吹く北東モンスーンがあります。
5~9月には南西からモンスーンが吹き、11~3月には北東からモンスーンが吹きます。
上記の地図は、インドに吹く2つのモンスーンの方角ですが、基本的にはスリランカでも同じ方角から2つのモンスーンが吹いてきます。
この2つのモンスーンが主に影響して、スリランカの国土は大きく、湿潤地帯と乾燥地帯に分けられます。
スリランカ:湿潤地帯の雨季
湿潤地帯は、5~9月の南西モンスーンと11~3月の北東モンスーンの両方の影響を受け、雨季が訪れます。
南西モンスーンは、スリランカの南西から吹き主に南西部に雨をもたらしますが、ベンガル湾から吹く北東モンスーンは、スリランカの一部の地域を除いて国土全体に雨を降らせるのです。結果的に、南西部は年間の降雨量が多くなり、湿潤地帯になります。
メイン都市のコロンボや南西部の海岸、またスリランカ第二の都市で古都であるキャンディも、湿潤地帯です。
スリランカ:乾燥地帯の雨季
乾燥地帯は北東モンスーンの時期のみに雨季が来る地域で、年間の雨季の期間と降雨量が少なくなります。乾燥して暑い気候が特徴です。
スリランカの北部・東部・南東部が乾燥地帯になります。その中でも南東部や北西部は、北東モンスーンの時期も含めて、年間を通して雨が少ない気候です。
観光地としては、中央北部の文化三角地帯や、サーフィンでも人気の東部の海岸、また南東部のヤーラ国立公園(サファリ)などが、乾燥地帯です。
スリランカの雨はどんな感じ?
スリランカの気候で気温と同じ程度に大切なのが、雨です。
スリランカ全土において、雨季と乾季があります。
“雨季”と聞くと、日本の梅雨のような時期を思い描く方も多いでしょう。
でも、これはかなり実情と違います。スリランカの雨季、そしてそもそもスリランカの雨の降り方は、日本の雨とはかなり様相が違います。
日本の梅雨はシトシトと1日中雨が続く日が続く時期。
一方スリランカの雨季は、文字通り「バケツの水をひっくり返したような」雨がドバーッと、短時間に集中して降ります。いわゆる“スコール”と呼ばれる雨です。
もちろん、短時間の集中豪雨の一方で、割と弱めの雨が長時間降ることもあります。それでも、雨季の間でも晴れ間はあり、晴れ~曇り~豪雨が1日の間で繰り返されることも。お洗濯ものを干したかと思うと雨が降り出し、取り込んだら晴れ間、また干したら今度は豪雨、ということもめずらしくないのです。
雨が降り出しても、小雨になったり止むまでの時間が短いので、雨季には街中のお店の軒下で雨宿りをしている人たちをよく見ます。スリランカの方たちの日常生活として、雨宿りは定着しているようです。雨宿りが苦にならないほど、少し待つと小雨になったり止んだりするのです。
スリランカ各地で異なる雨季と乾季
狭い国土のスリランカですが、上で記したように各地で気候はそれなりに異なります。
年間を通して気温差の少ないスリランカのため、気温よりもむしろ降雨量の違いが、“季節”といえるでしょう。
“レイニー・シーズン”と英語で呼ばれる雨季、それ以外の乾季の時期。雨季と乾季の周期が、スリランカの季節ともいえるのです。
雨季と乾季期の時期は、旅行者も必須でチェックしたい項目。もちろん、乾季はベストシーズンで旅行者も増える時期です。自分が訪れたい地域が雨季か乾季なのかを調べて、旅行する時期を選ぶのがよいでしょう。
それでも、各地を巡るツアーの場合は、雨季と乾季それぞれの地域を巡ることもあるはず。
雨季でもあわてないように、各地の雨季・乾季の時期と、その対策をご紹介します。
スリランカ各地の雨季・乾季の時期
スリランカの降雨量、雨季と乾季の時期を決めるのは、2つのモンスーンの影響によります。
5~9月には南西からモンスーンが吹き、11~3月には北東からモンスーンが吹くため、大きく分けるとスリランカの南西部と北東部で、雨季・乾季が異なります。
また、年間を通して雨の多い地域、少ない地域もあります。
スリランカ南西部と中央高地の雨季・乾季
南西部と中央高地は、雨季が年間で2回あります。南西モンスーンが吹き始める4~6月頃と、さらに東北モンスーンの吹き始める11月にも降雨量が増えます。さらにその間の「インターモンスーン」期は、低気圧の影響で雷を伴う雨が増えます。
年間を通して降雨量が多く、7~9月もそれなりに雨は降り、本当に雨が少ないのは、1~3月頃のみです。
南西部の中でも、都市によって微妙な降雨時期の差があり、コロンボやゴールなどの南西海岸部では、4~5月の雨季と、10~11月の雨季が同じ程度の降雨量。一方、中高地のキャンディでは、4月は多少多いものの、10~11月のほうが降雨量は多くなります。
また、キャンディよりずっと標高の高いヌワラエリヤでは年間を通して平均的な降雨量で、1~3月が比較的降雨量が少なくなります。
スリランカ北東部の雨季・乾季
北東部は北東モンスーンの影響のみを受け、この時期が雨季になります。北東モンスーンが吹き始める10~12月頃が雨季になります。
北東部の海岸トリンコマリーでは、10~12月が雨季ですが、そのうち11~12月頃は特に、雨の多いとされるゴール並みに降雨量が多くなります。
スリランカ北西部・南東部の降雨量
この地域は、2つのモンスーンともに影響を受けにくく、年間を通して降雨量の少ない地域です。特に7~9月は乾燥した日が続きます。
スリランカ各地のベストシーズン
以上のように、スリランカの気候は、気温や雨季など各地で異なっています。
各地の気候を加味し、スリランカを訪れるベストシーズンをご紹介します。
スリランカ南西部・中央高地のベストシーズン
メイン都市のコロンボ、南西海岸のゴールやヒッカドゥワ、古都キャンディが含まれる地域です。
年2回の雨季があり、年間を通して雨が多いのが特徴です。
・気候からのオススメ時期:
雨の少ない1~3月がベスト。4月はスリランカ中で最も暑い時期のため、その前の時期が比較的過ごしやすい気温です。
・オススメのイベント:
古都キャンディ一番の観光目玉が、毎年7~8月に行われる「ペラヘラ祭」。開催時期は、毎年仏教暦によって決められるため、毎年開催日が異なります。キャンディを訪れるなら、比較的雨も少ない7~8月はオススメです。
・ビーチのベストシーズン:
比較的穏やかな波のあるゴールなど南西海岸は、サーフィンの人気スポットでもあります。雨の少ない1~3月がベストです。
・服装は?:
中央高地と夜間のキャンディ以外は、寒さ対策は不要。日中の暑さと、突然の雨に備えた服装がよいでしょう。
スリランカ北東部のベストシーズン
サーフィンで有名なトリンコマリーなどが含まれる地域です。
年1回10~12月に雨季があります。年間を通して曇りの日が多く、多湿な気候が特徴です。
・気候からのオススメ時期:
10~12月の雨季を避けた時期がベスト。
・オススメのイベント:
このエリアは、特に観光客が訪れる大きなイベントはありません。
・ビーチのベストシーズン:
1~3月がベスト。トリンコマリーなどでサーフィンするなら、10~12月を避けましょう。
・服装は?:
曇りの日が多いため、日光対策よりも、多湿でも快適な服装がよいでしょう。
スリランカ北西部・南東部のベストシーズン
北西部と南東部は、どちらも乾燥して降雨量の少ない地域で、気候が似ています。
北西部のウィルパットゥ国立公園(サファリ)、南東部のヤーラ公立公園(サファリ)やカタラガマが含まれる地域です。
年間を通して乾燥して暑い気候が特徴です。
・気候からのオススメ時期:
7~9月は特に乾燥した日が多いため、この時期を避けるのがベスト。
・オススメのイベント:
宗教を超えた聖なる地とされるカタラガマの神殿では、7月にエサラ・フェスティバルが行われます。暑い時期を迎える頃ですが、観光目的ではぜひ訪れたい時期です。
・ビーチのベストシーズン:
4月と10月がベストです。
・服装は?:
暑い季節のため、紫外線対策が必須。サファリに行くなら、肌を出さない長袖・長ズボンと帽子も持参しましょう。
スリランカ北部のベストシーズン
仏教遺跡の町アヌラーダプラや、北端のジャフナなどが含まれます。
年間を通して雨が少なく、乾燥して暑い気候が特徴。雨季は10~12月です。
・気候からのオススメ時期:
雨季を避けて、1~9月がベスト。
・オススメのイベント:
6月の満月の祝日「ポスンポーヤ」。仏教がスリランカに伝来したことを祝う日で、この周辺の日には仏教伝来の地ミヒンタレーや、すぐ近くのアヌラーダプラへ、多くの巡礼者が訪れます。街中がランタンで飾られ美しい時期のため、この地域を訪れるならポスンポーヤ前後がオススメ。
・服装は?:
年間を通して暑い地域です。日光避けのUVカット帽子や、寺院を歩く際には靴を脱ぐために靴下があるとよいでしょう。
スリランカ全土でのベストシーズン
雨を避けて快適に観光したいなら、10~12月頃は、スリランカ全土で雨が降りやすいため、雨を避けたいなら、この時期は避けるのがベストでしょう。
逆にスリランカ全土で雨が少ないのは1~3月で、ベストシーズンといえます。
スリランカの気候~まとめ
北海道より少し小さいほどの国土のスリランカですが、このように気候には細かな差があります。それでも、四季がめまぐるしく変わる日本の気候からすると、スリランカは年中夏の国。気温の変化が少ないからこそ、のんびりとした雰囲気を感じるでしょう。
そして、とにかく雨の激しさはハンパではありません!低地の暑さもハンパでないことも!それでも、日本とは異なる熱帯~温帯の気候は、この島国を最高のリゾートにしたひとつの重要な要素です。
熱帯雨林ゆえの豊富で貴重な植物群。スリランカの固有植物と固有動物は、世界最大級の数が存在しています。
サーフィンのメッカである海岸も、アーユルヴェーダの豊富な薬草も、この島国の気候あってのものです。
スリランカに恋したなら、日本とは違うスリランカの気候も、ぜひ楽しんでみましょう!
筆者のブログはこちら!
ライター“たら・みどり”のスリランカ情報
たら・みどりさんのブログです。最近の記事は「スリランカから郵送できないものを、持ち帰り中。(画像あり)」です。
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